短編

□夜明け前
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すぅっ



静かに襖が開けられ
夜気の残り香が
部屋に入ってくる。


月明かりが
わずかに差し込む室内
褥の中でわずかに上下する人影



沖田はそうっと褥をめくると
眠っている 名無しさんの横に
寝転んだ


可愛い寝顔を見ていると
不意に悪戯心が湧き上がる


そっと頬を指で撫でると
ふっと吐息がかかった。
でも起きる様子はなく。。。


わずかに枕をずらし
自分の腕を代わりに入れると
名無しさんがすぅっと
寄り添ってきた


「。。。まったく。
君って堪んないね」



そのまま自分の腕に抱き
沖田は静かに目を閉じた。



名無しさんがいると
安心するな。。。



いつの間にか
そのまま眠りに落ちてしまった




しばらくしてふと目が覚めた
躰が異様に火照っている

愛しい人を抱いているから
仕方ない。。。
そう思った 沖田は
自分の下半身に違和感を覚えた。



名無しさんの小さな掌が
自身の上にある
きっと無意識なのだろう
別に撫でるわけでもなく
ただ添えられている


気付いてしまうと
そこは熱く固くなる一方



「まったく、君は。。。
そんなに煽られると
困るんだけどな。。。」



そう紡ぐと
嬉しそうに口元を綻ばせた。



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