短編

□お日様
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「もうちょっ。。。っ」


。。。あいつなにやってんだ??




巡察から戻ってきた原田はある一室で格闘する 名無しさんを見つけた。



おそらく箪笥の上の箱を取りたいみたいにだが小さい彼女には届くことなく。
棒切れで懸命に箱を落とそうとしていた。



「おい、 名無しさんこれか?」



突然背後から現れ
お目当ての箱をひょいっと取ると 名無しさんの前に置いた。


「左之〜っありがとっっ」


ぱあっと笑みが零れんばかりに広がる。
見ていてこちらも自然と笑みが零れた。


「別にたいしたぁことねぇよ。
しっかし 名無しさんはちっこいなぁ。」

「左之が大きいんだよ〜。」


ちょっと不貞腐れた様に発せられた言の葉がワザとなのは知っている。
原田は大きな掌を 名無しさんの頭にぽんとおくとくしゃっと撫でた。


「まったく。ちっとも姉さんに見えねぇなぁ。 名無しさんは。」


頭が胸のあたりにある。
小さくとも年上。


「ん〜??そんなに私ってば可愛い〜??」


冗談っぽくいつもの様に紡いだ言の葉に


「可愛い可愛い。」


と、ぶっきらぼうに返事が返ってきた。


「あ、左之。ストップ。ここきれてる。」


彼女の言う言葉に聞きなれない言葉が混ざっていて思わず確認をする。

「すとっぷ。。。ってなんだっけか?止まれ。。。だっけか?」

「そうそう。ほらここっ」


名無しさんの指が示す羽織が少し切れていた。


「はい、脱いで。繕うついでに洗っとくから。」


両手を広げて脱げという 名無しさんを可愛いと思いながら羽織を脱ぎ彼女に手渡した。


「悪いなぁ 名無しさん。
なんかお礼しないといけねえな。」

「いいって。居候な身分だし。」

原田は羽織の穴に目を向けている 名無しさんの肩に手をおくと屈んで唇を奪った。



「。。。は?」

「は?じゃねえよ。触れるだけじゃ足りねえか??」


ニヤッと原田ら笑みを浮かべると
名無しさんは紅く染まり手を上げる。


その手首を掴んでもう一度唇を塞いだ。



「。。。ぷっ可愛いやつ。」

「〜っっ左之助〜!!」


。。。まったく、年上だってぇのに。
ころころと表情が変わるからついつい構いたくなる。





そんな原田が本気で 名無しさんに恋心を抱くのは
もう少し先のお話。




 

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