短編

□水音
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「はじめちゃんいつも悪いね。よろしくねん。」



「あぁ。行ってこい。」







シュルシュル


衣擦れの音が夜更けに響く
名無しさんは夜更けに
いつも斎藤を番に残して
湯浴みに向かう。

こうでもしないと
誰かと鉢合わせになってしまう。
男所帯の屯所では致し方ない。




ちゃぽん。



「ふぅ」



この世界の風呂にも
ようやく慣れてきた。

湯で長い髪を洗うが
シャンプーもない世界。


「面倒だから潜っちゃえ」


風呂に頭まで浸かり洗う。



最後の1人だし。。。
多めにみてよね。



そんな事を考えながら
頭をわしわしして
ざばっと顔をあげると
ふと背後からいるはずもない人
から声がかかった。



「随分、大胆な湯浴みだね君って
あちらの世界ではみんなそうなの??」

「?!」


振り向きたくても振り向けない。
そのまま固まってい名無しさんに
沖田が後ろから抱きついた。


「 名無しさんちゃん。なに固まってるの?」

「そっ。。。」

怒号を口にする前に沖田に
手で阻まれた。


「静かに
一君にばれちゃうよ?」


沖田の肌が 名無しさんの背に
ピタッと張り付く
どくんと心の臓がうごめく
気がした。


「待ってたんだ君のこと。 名無しさんってばこの僕を
いつも子供扱いするからね
こうでもすれば一人前の男としてみてくれるかなって。」


ぐいっと前を向かされ
口の中に舌が入ってきた。


「。。。んっ。。。」


出すつもりもなくとも
甘い声音が漏れる
口内を執拗に犯される


名無しさんとて別に
子供扱いしていた訳でもない
だが一回り近い年下の彼に
自分が女として見られているとも
思えない。


そっと舌を噛まれると
背筋がぞくっとする
だんだんと力が抜けて
膝がかくんと落ちそうになるのを
沖田のしっかりとした腕が支えた。


「僕の接吻で感じてくれた??」

「総司。。。なに考えてんのっ」


思ったよりもその声は力なく
囁くように発せられ
当の本人もうろたえた。



「 名無しさんを僕の物にしたくて」

「あんたね。。。
男所帯で発情してるだけでしょ?」


キリッと沖田を睨む様に見上げる
と口元に笑みを浮かべた沖田が 名無しさんを見下ろしていた。


「綺麗だね。 名無しさん
思ったよりも胸大きいんだね」

沖田の大きな
そして長い指先がそっと
胸をなぞる。


ぴくん。


思わず躰がわずかに震える。


「早く出て行って。
若い男に遊ばれる気はさらさらないわ。」



沖田に背を向けて
湯船に肩まで浸かる。
沖田は 名無しさんをおいかけて後ろからしっかりと抱きしめると
耳元で囁いた。



「遊ぶつもりはないよ。。。
それとも子供には興味ない??
土方さんとか近藤さんじゃなきゃだめ??」


首筋に息がかかる。
背には大きく固いものが
あたっている。


「僕は遊ばれてもいい。
名無しさんが好きなんだ。。。」


後ろから回された手が
乳房を優しく撫で回す。


「一時の感情に流されてるのよ。
総司は。。。」


諦めた様に沖田に
身をゆだねる覚悟をした。
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