短編
□空気
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風が舞う。
名無しさんの長い髪がふわっと流れた。
名無しさんは髪をかきあげ前を向くと
凛とした眼差しがこちらを捉えた。
***
数刻前のこと。
居間にいつもの顔ぶれが募っている。
名無しさんはその会話に入るでもなく
一人一人にお茶を配っていた。
話の内容は羅刹と呼ばれる赤い瞳と白銀の髪の持ち主達のこと。
名無しさんはことの結末を知っている。
ここにいる幹部も名無しさんが未来人で全ての結末を知っていることを周知している。
だが、誰1人とてそのことを口にするものはいない。
それがどれだけ今の名無しさんに助かっていることだろう。
人の未来は変えてはならぬもの。
でもその理を少しずつ違えていきたいと。。。
それが大きく人の世を違えることに繋がったとしても。
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