長編

□恋愛
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あらからひと月が流れた


相変わらず彼女の記憶が
戻ることはないものの
その生活にも皆慣れつつあった





ただ一人を除いて





「あれ?名無しさんはどこ?
左之さん 新八さん彼女知らない?」

「名無しさんかぁ?さっきまで
斎藤の奴と防具を干すとかで
道場の辺りにいた。。。
あ、総司っ」


最後まで永倉の話を聞かずに
沖田はその場を走り去って行った


「まったく。。。総司の奴
以前にもまして名無しさんちゃんに
つきっきりじゃねぇか?」


思わずぼやく永倉に原田は
沖田の去って行った方向を
見ながら言った


「新八 仕方ねぇって
心底惚れた女が
自分との記憶がねぇんだからよ」

「名無しさんちゃんの記憶
本当にこのままなのかなぁ」

「さあな。でもよ
あいつも。。。いやなんでもねぇ」



。。。あいつも総司のこともう一度
意識し出してるんじゃねぇか?



なんだよ、と途中で話を止められ
不服を言う永倉を原田は遮り

思った言葉を心の中で飲み込んだ





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