長編

□一から
1ページ/3ページ

「総司 離れないでね」



あの言葉が脳裏で木霊する
鮮やかな君の声で
何度も何度も繰り返される



誰よりも孤独を
嫌っていたのは君?




いや違う
僕の方だったんだ




僕を置いて行かないでよ。。。
ねぇ名無しさん。。。






***



「誰って。。。
君 本気でそんなこと言ってるの?
その冗談笑えないんだけど」



冷静を装って彼女に沖田は笑顔を向けた
起き上がろうとした彼女の躰が
ぐらりと傾いたのを
咄嗟に沖田は抱きとめた


力のない眼差しがこちらに向けられる


「ここは。。。?
私はいったい。。。っ」



そこまで紡ぐと再び彼女は
意識を失った



「。。。なんの冗談だよ名無しさん
僕のこと。。。」



僕のこと本気で覚えてないの?



沖田は震える腕で
彼女を再び寝かせつけ
その唇を指でなぞった




息が苦しい


あれ 呼吸ってどうやってするんだっけ?


当たり前のことが
当たり前じゃなくなる


僕はこんなに弱かった?



君の言葉一つで



僕は



僕は




こんなにも。。。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ