長編

□忘却
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闇夜に溶け込む化の様に人影が浮かぶ


風間は彼女を肩に担ぎ夜道を歩く


このまま連れ去ろうかとも考えたが
それでは面白みがない


面倒ではあるが今一度
あいつらの前に技と舞い戻り
その目の前で連れ去った方がと考えていた



「犬どもの目の前でさらってやっろう
退屈しのぎ位にはなるであろう」



風間は一人呟くと彼女の気配が
肩の上で戻ってきたのに気付いた


「ん。。痛。。。」

「気付いたのか?お前の名はなんと言う?
お前は何故 俺の名を知っている?」

「え?!あれ?!風間千景?!」


肩の上で彼女は
一瞬なにが起こっているか考えたが
すぐに状況を飲み込んだ


「いやいや、私をさらっても
なんの価値もないよ。鬼じゃないし」

「俺の話を聞いていなかったのか?このまま落としてやろうか」

「いや 痛いのもうやだし
説明するのはいいけど。。。
信じられないと思うよ?」


前振りをした後名無しさんは
自分の名を名乗り一言で説明した


「私、未来から来たの
だから風間を知ってるの
会ったことないけど天霧と不知火も
薩摩藩を手伝う鬼だと言うことも」

「。。。ほう面白い」

「へぇ 信じるんだ?」


担がれたまま彼女が意外な返事に
驚くと


「名を知っている
何より会っていない者の名まで
上げられたのでな
間者という可能性は至って低い。。
お前は簡単に捕まり
手応えが無さ過ぎる」

「間者なんて無理無理
なにも出来ないし
だから私を下ろしてよ。帰るから」

「面白いから連れ帰る
だがこのままさらっても
面白みがないのでな
一度面倒だが犬どものところに
顔を出そうと思ってな。。。
着いたぞ」

「え。。。?」


気がつけば見覚えのある門が
目の前にあった

風間はそのまま彼女を肩に担いだまま
すっと飛び上がると塀に上がった





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