長編

□すれ違う
1ページ/5ページ

「名無しさんちゃん
今日はみんなで飲みに行くんだ
たまには名無しさんちゃんも
一緒にどうだ?」

「行く〜!」


永倉の誘いで急遽
島原に呼ばれた名無しさんだった

沖田はしかめっ面をしながら


「君が行くなら僕が行かない
理由はないよね?」


といって着いてきた



まさかこんなことになろうとは
その時は誰も思いもしなかった



***


「沖田はん久しぶりどすなぁ」


女からみても雅な風貌
名無しさんが見とれていると
紫と呼ばれる花魁は
沖田にしな垂れながら
酌をする


「あぁ君か 久しぶりだね」

「全然きてくれへんので
えろう淋しかったわぁ」



。。。え?
なになに?昔の遊女?


なにやらこそこそと二人で話しては
笑い声が聞こえてくる


わかってはいても
目の当たりにすると面白くない



。。。綺麗な子だもんね



スラリと伸びた手足
白くてハリのある肌
綺麗に着飾れた容姿



何より若い



ふと名無しさんは自分の姿を見る
紅色の着物に紺の袴姿
どこからみても男同然


化粧もなく
肌もきっとくすんでいる


はぁっと
大きくため息をつくと
横にいた原田が声を潜めて
話しかけてきた




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ