長編
□抱く
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ふと名無しさんは目覚めると
沖田の腕の中だった
眠っている間も
その腕はしっかりと彼女を
繋ぎとめて離さない
見上げると長いまつ毛が目に止まった
寝顔は割と幼く
少年の顔が見え隠れしている
とても好きなその寝顔を見つめ
なぜか胸が苦しくなった
いつまで自分はこうして一緒に
いられるのだろう
いつまでこの人に
愛されていられるのだろう
人の気持ちは変わるもの
大好きになればなるほど
その均衡が崩れた時の事を
思うと苦しくて
過去に別れた人がそうだったように
もしも沖田との別れが訪れたら
「これ以上好きになっちゃ行けない」
沖田の腕から逃れようと
名無しさんは躰をずらしたら
彼の腕が伸び再び腕の中へと
閉じ込められた
。