長編

□紅
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彼女がこちらに戻ってきてから
月日は流れた。



山南と沖田は
一つの約束をする。



「山南さんが狂ったら
僕が斬ってあげますよ。」





***



「こんばんは名無しさんさん
今日は星が綺麗ですね。」


縁側で珍しい人に
声をかけられた。


「あれ?山南さん。珍しいですね」

「おや 珍しいですか?
最近ずっと薬の
研究をしてましたからね。」

貴方は
と山南が紡ぐ

「貴方は私の行っている研究の事も
ご存知なんでしょう?
そして『それ』の行く末も。。。」


なんと返事したらいいものか
山南は返答を黙って待っている。


「羅刹は。。。」


重く閉ざされた
名無しさんの口が開く


「羅刹は全ての体を治し
凄まじい体力を与えてくれるけど
代わりにその人の
寿命を縮める。。。」


山南は彼女の言の葉に
目をまるく見開いた。

そして唇をぐっと噛み締めると
視線をそらした。


「それでも私は。。。
それでも
私は剣を振るいたい。。。!」

「。。。本当にそれでいいの?」


名無しさんの眼差しと
山南の眼差しが絡み合う


全てを知ってなお
貫こうとする意思を


彼女は止める術を
持ち合わせていなかった。




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