長編

□日向
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「総司。。。そこにいるんだろ?」

「まったく。。。本当に無粋ですよね。土方さんって。」



そおっと腕から彼女を下ろし
しばらく顔を覗き込んだ。


「。。。ん。。。」


彼女は少し身じろいだが
程なくして規則正しい寝息が聞こえた。


「ちょっと待っててね。名無しさん」


沖田は彼女の額にそっと
唇を付けると
褥からそっと躰を起こし
名無しさんの部屋を後にした。




「なんだぁその仏頂面はぁ?」

「そりゃ仏頂面にもなりますよね?今の僕は片時も名無しさんの側にいたいのに。わざわざ彼女の部屋にまで僕を呼びに来るなんて無粋にも程がありますよね?」


彼女が起きちゃうんで。と沖田は
居間へと足を進めた。


「まったく口の減らないやつだ。」

「どうとでも言ってください。」



***



居間入ると朝餉が並び
いつもの面々が席についていた。

土方が昨日の一件を
一部を伏せて説明をすると
あたりが明るい空気となった。


「お、早速名無しさんに会いに行こうぜ〜!」


食事を済ませ
箸を置いた藤堂が言うと
沖田が即答した。


「ダメです。彼女寝てますから。」

「なんで総司がそんなこと言うんだよ〜。」

「当然でしょ?彼女は僕のものですから。それとも何?僕から彼女を奪う気??」


「。。。は?」
「総司それって。。。」
「まさか、お前名無しさんに。。。」


藤堂は顔を紅くし固まり
永倉は箸で掴んだめざしを落とし
原田の箸が床へ落ちた。


「総司。どういう意味だ?」


冷静な声で斎藤が問うと


「どうもこうも僕は名無しさんを。。。」

「うるせ〜てめぇら!!黙って飯食え!!」


土方の怒号でその場は収まった。
不機嫌にその場にいる土方に
沖田は得意気に笑みを浮かべてた。



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