長編

□本心
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優しい陽の光が差し込んでいる。
ばんっと洗いたての着物のシワを伸ばして干していると
門の方がザワザワとしているのに気が付いた。


今朝は一番隊の巡察だったはずだ。
と言うことは。。。もうすぐ来るに違いない。



「名無しさんただいま。僕が居なくてさみしくなかった??」

後ろから羽交い締めにされる。
今だ肋骨に負った怪我が完治されていないのは沖田も知っているので本来よりも少しは力を抜いてはくれている。


「いーや、全くもってさみしくない。」

「嫌だなぁ照れちゃって。そんな年でもないでしょう?」

「。。。っ年って言うな〜!!」



クスクスと笑う沖田をみて
よくまあ毎日飽きずに来るもんだと少し感心すらしてしまう。


「総司。てめぇなにやってやがんだ??」


低い声色で縁側から声がかけられた。


「別に、土方さんには関係ないんじゃないですか?僕がこの人をどうしようと僕の勝手じゃないですか?」

「相手はまだ怪我人だぞ。見境なく襲ってんじゃねぇ。」

「じゃあ怪我人じゃなくなったら襲ってもいいんですね。」

「そんなこと言ってねぇだろ?」

「それとも。土方さん。僕と名無しさんがベタベタしてるところ見るの気に入らないとか。」

「総司!!黙ってろ!!俺は名無しさんに話があんだ。名無しさん、終わったら俺の部屋へ来い。わかったな?」

「はーい。総司がどいてくれたらすぐ終わるんですけどね〜。」



緩まれていた腕が一瞬強められ
言葉とは違う感じがした。


「仕方ないなぁ。君が土方さんのところにそんなに行きたいなら離さなきゃね。」


時折垣間見る事がある。
普段からなにを考えているかわからない沖田の一瞬悲しそうな目を。彼女はその瞳を捉えつつ冗談めかして言った。

「はいはい。後でかまってあげるから。」


彼女の言葉に笑みを浮かべて
沖田はじゃあとりあえず着替えてこようかなぁと自身の部屋へと戻って行った。


その様子をみて
ふうっとため息をもらし
土方は名無しさんにこう告げた。


「部屋へ来る時、茶を頼む。お前の分ももって来い。」



こくんと頷き返すと土方もまた
部屋へと下がって行った。



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