長編

□抱く
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名無しさんの様子がおかしい


なんでそんな悲しい笑みを浮かべるの?
僕が側にいるのに



君は



君は



僕を置いて消えてしまうの?




そんなこと僕は許さない
君を手放す事なんて
もう二度とできないんだから





「おいっ総司聞いてんのか?」


「っっ」

土方の怒号で我に返った
曖昧な返事をした沖田に一瞥して
土方は話をまとめた


「ようするにだ
名無しさんは嫌な予感がして
総司の目を盗んで居間に来たら
案の定山南さんが例の薬を
飲むところだった。。。と」

「うん」

「なんで俺のところに
相談に来なかったんだ!」

「だって確信があった訳じゃないし
余計なこと言ったら
心配かけるかなって」

「土方さんに相談するのはともかく
せめて僕には
一声あっていいんじゃない?
君がいなくてどれだけ心配したか」

「ゔ。。。」


機嫌の悪そうな総司の言葉に
思わず押し黙って俯く


私一人ではなにも出来ないと
頭ではわかっていても
もしかしてと思うと体が勝手に
動いてしまったのだった


心配をかけまいと思った行為が
裏目に出た名無しさんは
なにも言えなかった


ふと沈黙の中
彼女に声がかけられた


「まぁまぁ皆さんそれぐらいに
しておきましょう
私は名無しさんさんのおかげで
こうして正気でいられるのかも
しれませんからね」


羅刹となってしまったが
普段とあまり変わりのない山南

その場を静かに収めた






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