†ANGEL story W†

□†【2】†
1ページ/1ページ



ディーンに言われた通り
同行していた天使は
私を殺し器を奪う気でいた

私は何とか回避し
今…さ迷っている
地上を

《…………》

人間になると言うことは
こうなると言うことか
まだ
数キロしか歩いてはないのだが
身体は体力が消耗し
そして腹が空腹のサインをだしている


立ち止まった私の横を
人間達が通り過ぎる
スタスタと迷いもなく真っ直ぐに

《ッ…》

私は何処へ行けばいいのだろうか
ポケットの中には
少しの金
これではディーンの場所まで行けやしない

天使の力を失い
地上で生きる知恵も少なく
"目的"を失った
何も出来ない私は
ディーンが話していた私を狙う
天使達から逃げるしかない
僅かに残された
微かな天使ラジオを聴きながら

そして私は知ったのだ
"死"と言う感覚を知ったのだ

轢かれそうになり怪我をした
片手の傷が…痛む
そして日が暮れても治らない

空腹で倒れそうだ
目眩がする

歩き疲れて
足の動きが鈍くなってきた

私の横を通り過ぎる"人間"とは
なんて強い生き物なのか

ディーンや…サム
そしてケビンに亡きボビー
命とは何なのか
恩寵を無くし人間となり
私は強く知ったのだ








ー…やぁー

《??》

ーあんた…家は?ー

《……無い》

ーだよな
俺も無いんだよ
昨日からずっと
其処に座ってるもんな
なぁ…腹へってないか?ー

《…う…動けない》

ー…病気か?ー

《腹が空腹過ぎて…
歩けないのだ》

ーなるほど
じゃあおぶってやるよー

《……すまない》

見知らぬ人間に救われた
たくさん
人間を殺した過去を持つ
天使の私を救った弱き彼は
まるで救世主に思えた
そして
その男は私を教会へ連れていった

そこの神の子の神父に
私を会わせた
そして神父は私に
ご飯と風呂と寝床を用意した
無償で
代わりに私は教会の掃除をする
家が無く稼ぎが無く目的が無い彼等と
私は暫く過ごした

ご飯がとても美味しかった
人間の"五感"の凄さを知るのだ


人間のサイクル
食→動く→食→寝るを繰り返し
放浪者の彼等を見ながら
徐々に人間の本質を身に付けた

一番人間になり疲れる事は
排泄をすること
そして一番難しいのは
体力を回復する為に
睡眠をとることだ

そして一番嫌のは
孤独を感じる感覚だった

ある日神父が二人殺された
殺されかたは
…天使のやり方だった
私はそこから離れ
違う場所へと移動した

そこでも
使用されていない
バスの中で眠る際
私は天使に襲われた
私はまた放浪する事になった

一番最初に向かったのは
タトゥーの店
そこで有り金を使用し
天使避けのタトゥーを掘ってもらった

私は少しだけ安堵した
そしてまた
先の見えない道を
ただ…孤独と不安を
胸に抱え歩くのだ







どのくらい歩いたのか

真っ暗な闇を
何度迎えただろうか

家が無く金も無く
生まれた欲を全て叶えず
ジワジワと…私を蝕む
こんなに辛いのなら

こんなにも…

生きている価値はあるのか?と

飲食店が並ぶ裏道に入った
忌まわしい姿だ
私は…ゴミ箱を漁り食を探す

生きている価値はあるのか?と
問いかけるが
身体は生きようとしているのだ

物音に振り替える
そこの従業員らしい人間が
私を見ていた
私は見られた姿を恥ながら
言葉を投げた
《……盗んでるわけではない》

ー…私は警察じゃあないわ
お腹が空いているの?
私のご飯をあげるわー

彼女は私に
自分が食べる食を与えた
《……ありがとう》
とても美人で明るく優しい女性だった

ー私の名前はエイプリル
お口にあうといいわ♪
貴方の名前は?ー

《……カスティエル》

人間の優しさに沢山ふれ
私は…何度か泣きたくなった
天使であった私は…傲慢だったと

彼女が与えたモノで
私は喜びで
孤独や不安な心は満たされた



いく宛が無く
私は…雨の中
《………》
唯一頼れると感じた彼女を待った
身体が雨でずぶ濡れになり
身体が震えだす

いつまでも待てる
私は…彼女を待てる

ー……貴方は
ああ〜…まだいたの?
もしかして私を待っていたの?ー

《……》

ー…もっと…食べたいの?
そんなに濡れて震えてるわ
うちに来る?ー

《………*》

捨てる神あれば
拾う神あり…酒飲みの老人が
昔私に聞かせた事があった

ああ〜…そう言う神が居るのならば
私は逢ってみたいと感じた

ー…ごめんなさいね
散らかってるわよねー

《……や
そんな事は無い》

エイプリルが少し
怯えた顔をした
その目線を追うと
バスの中で襲われ破損してしまった
ー…何かあったの?ー
《襲われたのだ…兄弟に
そして私は彼を刺した
彼は爆発した》
ジミーの腕から流れる血だった

ー冗談?
貴方はそんな事をする人に見えないわ
ホームレスにも見えないー
《……私は間違った
信頼する者を…》

ー…投資にでも失敗したの?ー
《…いや
私は自分がもっと力があり
重要な人物だと思っていた
全てを理解できると
だがそれは…自惚れだ
今の私に出来ることは逃げる事だけだ》

ー…カスティエル
もっとリラックスしないとー
《何もかも私には
初めての強い経験だ
空腹…寒さ…孤独という感情は》

ー…今夜は一人じゃないわー
ぎゆッ…
《エイプリル…》

私はディーンの最も好きなモノを
エイプリルに教わる
それは柔くて甘くて優しくて
とても気持ちがよかった
ディーンが女との性交中毒の意味が初めてわかった




翌朝
私は自分のジャケットを探る
天使の刀が…見当たらない

エイプリルに知らないか?と
言葉を投げると
ー…これのこと?ー
私の喉元に握る天使の刀を向けた
彼女は私に拷問を始めた
エイプリルの中には死神が憑依していた
そしてソレは天使に雇われていた
そしてソノ雇い主は
私を通し混乱を正すやり方を
知りたい
そして根元のメタトロンの
行方を知りたいようだが…

《昨夜
私が話した事が全てだ…》

ー…カスティエル
もっと
この綺麗な真っ白な胸板を
切り刻まれたいの?ー

《ッ…はぁはお
私は騙された!
メタトロンが何をしようとしていたかを
私は知らなかった
彼は私を騙して嘘をついた
私は天国を修復するつもりだった
派閥を無くすつもりだった》


ー…カスティエル
もう胸板は
切れる場所が無くなるわよ?
痛いでしょ?凄く…痛いわよね?
早く言いなさい!!
貴方はメタトロンが術を使った時
その場にいた!
どうやって天使が落ちたのかを
知っているはずよ!ー

天使の刀が私の剥き出された
上半身を切り裂いていく
強い痛みと苦痛が身体を走る

早く言えと言われても
私は…本当に

《…はぁはぁ…ッ…
彼が術の準備をしている事を知らなかった
私が知っているのは
私自身が最後の術の材料だった
私の恩寵が…
だから私は人間になった
メタトロンが私の恩寵を奪ったからだ》

ー………あるいは
自分で与えたー

《…はぁはぁ…私を殺すのは
懸命ではないな
私の恩寵が術を完成させる鍵となった
この事態を対処できる
鍵も私かもしれない…》

ー…私と交渉をするつもり?カスティエルー


突然部屋の扉が
部屋の中へと吹っ飛んできた
壊れた扉の外には
《!?》
蹴破った本人
ー!!ー
ディーンが…立っていた

ディーンが…私を救いに来た
私を…

エイプリルが天使の刀を高く掲げた
そして
その刀は真っ直ぐ
私へと振り落とされ
私の胸に突き刺さった…



















私は…死んだはずだった
空白の時間に
そして拷問にあった
胸元の傷が癒えていた
【キャス!!】
だが…何故だ?

《……ディーン?》
【ああ…そうだ俺だ】

《サム?》
私は生きている
[キャス!?…大丈夫??]
生き返った…

ディーンが私の頬を両手で挟み…
【おまえは2度とウロウロするな!
おまえは2度と死ぬなッ!!】
《!!》
鼓膜が破けると思うほどに
大きな声で言葉を投げた

サムと私は疑問に思っている
何故私が生き返ったかを
どうやらサムはのびていた様で知らない

私が生き返った理由は
【…とにかく帰るぞキャス】
力強く私を抱き起こす
ディーンのみが知っていて
《…ディーン??
何故…私は?
ああ〜…混乱している
彼女は確かに私を拷問し
刺して…私は生きている》

【俺が彼女と取り引きした
ケバブになりたくなきゃ
おまえを戻せってな
…たがらおまえは戻った】

《……嘘だ》
【嘘だ】


なんだか曖昧な雰囲気だが
それで良いと思った

それは彼だから
…ディーンだからだ
彼の嘘は私は好きだ

私はディーンとサムと
二人の住み家に
お邪魔する事になった
《ディーン…以前の私なら考えたこともなかったが
ここに揃う豊富な食事に
快適な水圧のシャワー
これが人間らしいと言うことだろ?》

【ああ
ブリトーやストリッパーだけじゃ
ねぇってことだ友よ】

《……ああ
今ならきみの言う意味がわかる》

[本当に?]

《人間性には生き残る以上のものがある
生きる目的を求め
怒り絶望に敗北してはならず
さらに言うならば快楽にも》

【…おまえの快楽の発想は
どこからきた?】
[???]

《エイプリルと過ごした夜は
よい勉強になった…》

[だろうね
殺された事は勉強になったと思うよ]
【…こいつは何度も死んでるぜサム】

《sexだ》

【!!】[…なるほど]

【…それじゃ
ちゃんとつけたか?防ぐために】
《…天使の刀を持っている》

【ははははは
おまえはまだまだ
勉強が必要だな!
まぁ脱童貞おめでとうキャス♪】
[死神とsexかぁ…
凄い脱童貞したね貴長じゃない?ディーン]

《…いずれにせよ
私は生きると言うことが
困難な事とわかった
きみたちがいかに
上手く生きているかということも
きみたち二人は素晴らしい教師だ》

【…ありがとうキャス】

《???》

ディーンが私に
不思議な服を手渡した

[……ディーン本気?]
【お似合いだぜキャス
おまえはそのエプロンを着て
この家を守るんだ
勿論そのエプロンは家事をする為だ
家事の勉強を教えてやる】

《…家事?》

[………]
【ほれ地図をやる
あ!この部屋には入るなよ!!
この家を掃除して
俺達の飯を作るんだ…OK?】

《…OK》

私は人間になり
初めて襲われた際に
ジミーの服を已むなく捨てた

トレンチコートの代わりに私は
【あはッ…似合ってるぜ♪エプロン】
[………*]
エプロンと言うモノを身に付けた

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ