†ANGEL story V †

□†【4】†
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俺が此処から出る為に
必死な今…
地上ではどうなってるんだ

サミーそしてケビン

二人は
どうなっている??
無事なのだろうか
それを考えると胸が詰まる

【…はぁはぁ】

殺しても殺しても
沸いて出るクソ野郎を
ひたすらひたすら殺しながら
俺が思うことは

キャスとベニーと
この煉獄から出て
二人を探す事だ

《…ディーン
大丈夫か?》
(少し休め…)

【休んでる暇はねぇよ…
はぁはぁ…サムとケビンの顔を
地上で見るんだ】

リバイアサンや悪魔や天使が
ウロツク地上のまま
俺は消えちまったから

早く…戻らねぇと

特にケビンは
戦う術を知らねぇんだ
まぁ
サムがいれば…
サムも一人じゃ

《…ディーン》
【キャス!
俺から離れてぇなら
俺の目から光が消えてからにしろ!】

《…ッ》
【俺は
おまえを置いては戻らねぇ
ベニー…もう少しだろ?】

不安定なキャス
だいぶ弱っている
コイツは俺から離れたら
煉獄では生きてはいけない
絶対に一緒に連れ出す

(……ディーン
来るぞ)

ベニーの足が止まる
そして
空から怪物が落下してくる
この怪物はリバイアサン

俺とベニーは其れ其れ
一体首を跳ねて倒していく
倒していく間に
天使の身体に
リバイアサンが股がった

俺は羽がなく
キャスの距離までは届かねぇ
息が止まる瞬間
《!!》
俺の代わりに
(………)
バンパイアのベニーがキャスを救った

(立てるか?)
《…ありがとう》

ベニーはキャスの存在を
やっと受け入れた
この場所で睨みあってる場合じゃねぇと
理解してくれたみたいだ…

【…ありがとうなベニー】
(いや…
それよりディーン
風の流れが変わったぜ)
《………》


風の流れが確かに変わった
その確かな流れの変わりを追い
俺達は魔物や怪物を薙ぎ倒しながら
走っていった

そして木々から抜けると
岩壁が現れ
高い高い上に
(…あれが
人間の門だディーン…)
青白く光るソレがあった

(…頼む
俺の元まで魂を運んでくれよ)
【…ああ】

俺とベニーは腕に刀で傷を
その傷を合わせ
俺は呪文を唱える
ベニーの魂を俺の腕へと取り込む呪文を

【…ッ!】

その痛みに耐える俺を
《……》
キャスが見ている

【キャス…
帰るぞ】
《…ディーン
私は通れない》

【あ?】
《神が人間の門を創ったと
バンパイアは言っていた
私は天使だ
…私は通れない》

【んなの
やってみる前から
決めんじゃねぇキャス!】
《………ディーン》

キャス…そんな目をするな
不安な悲しむ様な
弱い目をするな

大丈夫だ
おまえは俺と此処に
飛ばされたんだ
おまえは俺と此処から
出るんだよキャス

【…行くぞキャス
走るんだ
邪魔が入る前に!】
《……ああ》

俺と天使は
岩壁を登りながら走り出す
現れる怪物を倒しながら
手を取り合い
人間の門へと向かい走る

天使はだいぶ弱っている
早く地上へ戻り
休ませてやらなきゃいけない

キャスは突風に逆らいながら
岩壁を登ることすら
儘ならぬ状態だ

俺はキャスより先に
青白く眩しく光を放ち
渦をまく人間の門へと足を入れた

【キャス!】

腕を伸ばした俺の手を
《ディーン!》
キャスが強く握った

【絶対に手を放すな!】
《ディーン!》

【来るんだ!キャス!
中へと入るんだ!】
《ディーン!!》

【キャス!
絶対に絶対に手を放すな!】

《………》

キャスの女みてぇな
白い手が…
【!!】
強い強烈な何かに
俺の手から離された
《ディーンッ!!》
俺はキャスを煉獄に置いて
地上へと…戻ってしまった









俺はどうにかして
おまえを助けたかった
どうしても絶対に助けたかった
俺にはおまえが必要だ
おまえが必要だ
どんなに仲違いしても
やっぱおまえが必要だ

キャス…














地上へ戻れば直ぐに
ベニーの墓へ行き
生き返らせた

生還の喜びを
(……ありがとうディーン)
ぎゆッ…
【ああ…】
ベニーと抱き締め合い喜んだ

(天使は…残念だった)
【ベニー…上手く
共存しろよ?
人間は襲うなよ…OK?】

(ああ…)
【俺は…腐ってもハンターだ
おまえが人を襲ったら…】

(わかっているさ…
俺は今から目的を果たしにいく
おまえのお陰だディーン)
【地上へ戻れたのは
おまえのお陰だベニー…】

俺は大事な者を煉獄で貰い
俺は大事な者を煉獄で失った

カスティエル…
まだ
俺は諦めないぜ
俺が出れたんだ
怪物や魔物とは違う天使のおまえも
煉獄から出れる何かがあるかもしれない

キャス…

握った手の感覚で
胸がとても…苦しい

[…ディーン!]

【ただいま…サミー】

[よかった…
また兄貴に会えるなんて
どうやった?]
【……あ…ああ
協力者が居たんだよ
おまえは?……ケビンはどうした?】

地上に戻り直ぐに落胆した
サムは俺を探さず一年
女と暮らしていたと
そしてハンターをやめていた

地獄の魔王に目の前で拐われた
ケビンすら…放置していた

【……俺はケビンを探す
おまえは?女と楽しく暮らすか?
ケビンの伝言にも気が付かずいたなんて
…………馬鹿野郎】
[……ごめん
兄貴を失って
もう…耐えられなかった
この生き方が]

血は繋がっていても
俺とサムは違う
考え方は其々違う

…この俺が居なかった間は
サムの…考え方の選択だ

[ケビンを探すよ…一緒に]
【…その後は?
俺とハンターをやるか?
それとも女と暮らす?】

[……ケビンを探そう]
【…OK】

[キャスは?一緒じゃないけど…]
【キャスは…
煉獄から出れなかった】

[…………そうか]
【俺は…助けたかった
だが駄目だった…】

[ディーン…最後まで
一緒に居た?]
【??…ああ】

[…………そう
ならキャスは兄貴を責めないよ]
【………アイツは
生き延びられない
煉獄では…あそこじゃ
アイツは弱っていた全てにおいて】

[…ディーン]
ぎゆッ…
【連れ出したかった…】

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