†【another story】†

□†【正義のヒーロー】†
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ーわはははは!
僕は正義のヒーローだ
悪人め退治してやるー!ー

ーわはははは!
俺は悪人のヒーローだ
偽善者め退治してやる!ー


ー……悪人のヒーロー?
悪人にはヒーローは居ないよ?ー

ー…悪人の中にもヒーローは
存在するさ
価値観の問題だヒーローなんてモンはー

ー…価値観?
なに?意味わかるの?ー

ーなんとなく?ー

ー…笑えるー



幼馴染みのサムと
よく公園でヒーローごっこをして
遊んでいた
サムはとてもヒーロー役があっていた
悪がきとかから
ダチや女子を助けていたからだ

ヒーロー役で競う事なんてなかった
俺は…サムの正義の味方を
子供ながらに演じる姿が
とても好きだったから見たかったんだ

俺はそれなら悪人
それでも構わなかった
サムと居られて遊べればよかった

ー…ディーンー

ーどうした?サム…ー

ー…僕さ
引っ越すんだ今日ー

ー………え?ー

普通に遊んでいた最後に
サムが突然
今日引っ越すと言った

俺とサムは
ーやだよサミー…ッ…ー
それから会うことは無かった








高校生になった俺達
その俺の高校に
あの幼馴染みのサムが
転校生で現れた

ニコニコといつも笑っていたサムは
ー…サムくん
皆に自己紹介をしてー
[…………よろしく]
氷の様な冷たい目をし笑みを失っていた

【…サム?】

[?]

【俺だよ…ディーンだ♪】

俺が名前を言ったら
目を丸くし俺を見た
[………]
驚いた様な顔をし
【久しぶりだな♪】
俺を暫く見つめて

サムは視線を俺から離した
[……久しぶり]
そして教科書に目を向けた
【………】
教科書に挟んでいた漫画へ


久しぶりに再開した幼馴染み
俺はサムと再び
再開する事が出来たなら
また昔の様に
楽しくて仕方がないんだろうと
ずっと考えながら生きてきた

久しぶりに再開した幼馴染みは
俺の想像を一変させた
まるでもう
俺には興味は無いと
冷たく背を向けたんだ


サムが来て数ヵ月
サムはクラスで浮いてしまった
クラスの人間が
そんなサムが気に入らなくて
喧嘩を吹っ掛けたら
見事に倒された
まるでアクションスターの様に
サムは格闘術を披露した

サムは身長も高くて
顔もかっこよくて
そんな浮いた転校生に
気を向けるのは
遠くから見ている女子

真面目で優しかったサムは
体育の授業はサボり
誰にも寄り付かなくて
まるで一匹狼の様だ

それでも寄っていくのは
【サミー♪】
昔の大好きなサムを知る俺だけ

[…なに?]
【寄り道して
帰らねぇ?】

あくびをしながらサムは
寄り道はしないと
俺を追い払う

【なぁなぁ
寝てばかりいると
頭が腐るぜ?
バッティングセンター行こうぜ
カラオケでもいいし♪】

[一人で行けよ]

【一人で行くより
二人で行くほうが
楽しいの知ってるだろ!】

[…子供かよ]
【は?子供だよ!
何を大人ぶってんだよ
高2のガキのくせに】

[はぁ…五月蝿いな
僕には関わるなよ
ディーンは子供でいればいい
僕はそんな遊びは興味はない]
【サミー!】

[……本当に黙れよ]

正義の味方が似合うサムは
【……ッ】
もう何処にも居ないらしい
少しでも望みを感じてた
クラスで俺の名前だけは
サムは呼ぶからだ

でもな
それだけじゃダメか

去ったサムの背中を見て
項垂れながら
家路を歩いた
楽しかったサムとの
幼少時代の思い出を
思い出しながら

翌日の朝
校門に他校の生徒が立っていた
誰かを待っているみたいだ

俺の後ろにソイツラは目をやり
向かっていくように
歩きだした
振り向くとサムを囲んでいた

サムは…
[…しつこいなアンタら]
見たことの無い
怒りを含んだ目で
他校の生徒を睨んだ

ー…逃げたなサムー

[逃げたんじゃない
田舎に帰ったんだよ
それにアンタらは
俺に勝てた試しがない]

ー…正義のヒーロー気取りを
もうする必要はないだろ?
おまえの唯一のダチは
死んだじゃないかー

[おまえらのせいだ!]


サムが他校の生徒に
牙を剥き出し怒鳴った
そして
一瞬で一人を殴り倒した

サムの闇が見えた

サムは…やっぱ
根本的には変わってなかった
アイツラはサムに
正義の味方ごっこと言った
サムはきっと

その死んだダチを
守っていたんだろう


【サミー!
俺も参戦するぜ♪】
[!?]

【おまえは俺の
最初で最後の親友だ…】
[……ディーン]

ーなんだテメェ!
関係ねぇ奴が出てくんな!ー

【関係はありありだ!
テメェこそ
俺のサミーを虐めるのは許さねぇ!】
[…………]

ーははは
なんだおまえはホモか!?あ!?
サミー…テメェは
男にモテすぎ♪はははー

[サミーと呼ぶな
よんでいいのは
ディーンだけだ]
【…*】

俺とサムはガヤガヤと
集まりだした野次馬の前で
【悪人め!俺達に勝てると思うなよ!】
[くく…
僕達は正義の味方だ!]
ヒーローばりのキメポーズを

そして野次馬を味方につけて
思う存分に暴れて
他校の悪人を華麗に倒して見せた


勿論その後に
校長と教師に説教を受けたが

[ディーン…ありがとう]

俺はまた
笑った顔のサムを見れて
【……ッ…】
嬉しくて泣いてしまった


そんな俺にサムが
[やっぱディーン…
きみにまた逢えてよかった♪]
ぎゆッ…
【大変な思いをしたんだな…
俺がさ話を聞くから
元気を出せよサミー】
俺に抱きついて涙を流した

俺とサムは昔の様にまた
急激に仲良くなり
しょっちゅう傍にいるから
ホモ疑惑が広まった

でも別にそれでもいいと
俺達は思うくらいに
お互いが大事なんだ

[僕さ昔
ディーンが女の子みたいで可愛くて
本当に好きだったんだよ…]
【俺もだよサミー】

[ああ〜…そうじゃなくて]
【??】

[まぁ…いいか♪]
【♪♪♪】



ー何でディーンは
いつも悪役をやるの?ー

ーえ?だって
サミーの方が
正義の味方みたいだろ?ー

ー僕にとっては
ディーンの方がヒーローみたいだよ♪
ディーンは僕のヒーローだよー

ーそ…そう?ー

ーうん♪
ディーン大好きだよ
ずっと友達でいようね
僕が離れても友達でいてねー

ー…うんー










ーendー

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