†【another story】†

□†【STARの恋人】†
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[ああ〜…カスティエル?
まだ…機嫌悪い?]

《…いや
だが…私は怪我をした》

[ガードが薄かったんだ
本当…ごめん
別れるなんて…言わないよね?]

僕は俳優をやっている
《………》
そして彼は画家
そう僕の恋人は
年上の魅力的な男だ

口数は少なくて
動きはスローな癖に
せっかちで
顔はね道を歩くとスカウトを
されるくらいの
僕に負けない容姿を持っている

[カスティエル?
また…外でデートしてくれる?]
《…傷が痛い↓》

[……うん
fanに追い掛けられて
転んじゃったんだよね
ごめんね
次は髭も僕つけていくよ]
《…きみは
変装をしても無駄だ
身長は低くならないし
どうやら私の事も
fanには知られている
変装をしてまで
二人で出掛ける必要があるのだろうか?》

[出掛けたいんだよ僕は
カスティエルと…外へ出たいよ]
《…サム
きみはスターだ
外出は控えた方がよい
私はきみの身の安全が
今日は熟心配になった》

[…カスティエル]
《きみが転ける姿はみたくない》

[キャスは…本当に優しいな]
ぎゆッ…
《きみが転けたら
私は…悲しい》

[…ん
僕もキャスが転んで
怪我をして悲しかったよ]
《…サム》

僕はこの人しか居ないと感じた
僕の生涯を
共に生きて欲しい人は
この…美しい天使の様なカスティエルと

その為なら俳優も
やめてもいいと彼に言ったけど
それはカスティエルが止めたんだ
僕から俳優を奪いたくないと
ブラウン管を通して観る僕は
とても…楽しそうだからと

僕が彼を
外へと連れ出したいのは
家に籠り絵を描いて過ごしているからだ

息抜きをして欲しいし
沢山の色彩や風景を観る事で
スランプからも
回避出来るとよんでいるから

でもカスティエルは…
外は余り好きでは無いから
今日は僕のfanに囲まれて
追い掛けられて
とても…怖かっただろうな

[…手が震えてるキャス]
《………》

[大丈夫だよ…
彼女達は襲ったりはしないよ僕達を
ただ…追い掛けてきただけだ
僕に近づきたくてね]
《……ああ
猪に追い掛けられてると
思ってしまったよ》

[この街には
猪は居ないから安全さ]
《……うむ
そうだな…考えすぎだ》

彼との出逢いは
休暇に山登りをしていた時だった
その日カスティエルも
久しぶりに外へと出て
山登りをしていた
理由は山頂で夕陽の写真を撮り
絵を描くための材料を得る為

僕とカスティエルは
山頂付近で出逢うんだ
カスティエルが木に寄りかかり
休憩をしていて僕が声をかけた
大丈夫?と
するとカスティエルは
足が疲労で動かないといい
僕は肩を貸したんだ

僕とカスティエルは一緒に
山頂を目指して歩いた
今でも覚えているよ
カスティエルは…
《…サム
疲れてしまった
少し…横になりたい》
とても良い匂いがしたよ

後から聞いたら
どうやら当時
付き合っていた彼女のシャンプーらしいけど

[OK…
一緒に横になろう]
《……うむ》

その時に連絡先を交換していて
僕はカスティエルとコンタクトをとった
その理由は無名の画家の絵に
僕が描かれていて
世間が騒いだせいだ
僕は直ぐにわかった
だってカスティエルはあの山頂で
僕の背景として夕陽を撮影して
とても幸せそうに笑っていたからだ

僕は彼と再び会いたかった
だからソレを利用し
連絡をし彼と逢った
彼は画家だと知った
彼の絵は実話知っていたとも知った
僕はある雑誌の表紙の絵が
とても好きで
その表紙の絵を保管したくて
読まないのに買っていた

その画家の名は
カスティエルだった

[…キャス?
次の絵は何を想像してる?]
《…次は
…まだ浮かんでいないのだ》

[そうか…
焦らないでねカスティエル]
《…うむ》

彼は繊細で
ぼくは日々
自分よりも彼の心配をしているよ
気を抜くと彼は
引きこもりの様に
部屋から出なくなる事もあるから

[カスティエル?
何かあったら連絡してね
冷蔵庫に連絡先を貼ったからOK?]
《………》

[カスティエル?…聞いてる?
大丈夫?熱でもあるのか?]
《……ない》

季節が変わり
肌寒くなった頃に
カスティエルがスランプになった
ソレは随分と続き
風呂にいれる為に
部屋から出すのに苦労する程に


そんな不安な状態のカスティエルを
僕はマンションに一人残して
映画の仕事の為に
海外へ撮影しに行く事に

[…カスティエル?
お金置いとくから
きちんとご飯も食べてね?
ああ〜…本当にヤバくなったら
僕の撮影現場まで来てよ
飛行機のチケットとるからさ]
《……サム》

[ん?…何?キャス]
ぎゆッ…
《…寂しい》

か…可愛い事を
言わないでくれカスティエル…ッ!

[僕も…だよ
わかるよね?]
《…うむ》

置いて行きたくない!!
こんなに弱ったキャスは
…久しぶりだから
兄貴にカスティエルの様子を
たまに見に行くように頼もう
カスティエルが珍しく馴れた兄貴に


後ろ髪を引かれたまま
僕はマンションを出た
そして長時間飛行機に乗り
目的の場所に着いた

最初の方は
鳴らない電話に焦れて
僕は毎日カスティエルに電話をしていた
いつの間にか
本格的に忙しくなって
僕は連絡がとれなくなった
勿論カスティエルは連絡をしない
僕に気を使い
仕事してる時はしないからだ
夜は疲れて寝てると
思っているに違いない

カスティエルの事は
兄貴からのメールで知る
兄貴もカスティエルを
何だかんだ可愛がっていて
暇さえあれば部屋に行き
ご飯を食わせてる
…ペット感覚の扱いだけど
こんな時は兄貴には助かる


[キャス〜…逢いたいよ]

カスティエルの匂いや
カスティエルの肌に触れる感触や
カスティエルの低い声色や
カスティエルの漂うマッタリした空間が
僕は凄く恋しいよ

きみは?
そう…感じてくれてるかい?

って聞いたら
きっとふて腐れて
当たり前だと怒るね

数ヵ月の撮影が終わり
僕は明日
帰る事になっている
逸る気持ちを押さえながら
僕はホテルで荷造りをしていた

そんな時にホテルに
珍しくメールじゃなくて
四日ぶりの兄貴からの電話だった
[…もしもし?
ありがとう兄貴
カスティエルは…どう?
近くにいるの?]


そして兄貴はこう言った
ー…それがな
カスティエル出掛けたキリで
帰って来ないんだよ
もう四日経っちまってさ
捜索願いもだしてきたよ今日ー

キャスが…行方不明だと

[………………]

血の気が引くって初めてだ
僕は撮影を終えていたから
今日の最終便で
帰宅する事にした



マンションに帰ると
愕然とした
カスティエルのアトリエは
まるで強盗にあった様に
グチャグチャになっていた

ホワイトボードは
ナイフで裂かれ
絵の具の道具は散らかり
…置き手紙があった

"おかえりサム
出迎えが出来なくてすまない
私は居ないが探さないでほしい
私の事は忘れてくれ"

[…カスティエル?
そんな…無茶苦茶だよ
きみが何処に行けると言うの?
きみの友達は僕しかいないし
恋人も僕しかいない!]

まさか…
カスティエル?
何処かで自殺なんてしないよね?
いや…してないよね?

きみは…繊細でさみしがりで
僕しか支える者は居なくて
それなのにスランプの中で
一人で置き去りして
一人で…苦しませて
この手紙はカスティエルの限界を現した
ーもしもし…サミー?ー
[兄貴!
頼むよ兄貴もカスティエルを
一緒に探してくれ!]

ー…何処を?
アイツには知り合いは居ないだろ?
親も居ないし…ー
[ああ〜…ッ!]

ー落ち着けよサミー
俺も何処かあたってみるからさー

あ…もしかして
何処かで気がついた
彼処に居るかもしれない






僕はタクシーを拾い
ある場所へ向かう
そして到着して
ひたすらひたすら…歩いた

そして僕は
《……》
カスティエルを見つけ出したんだ

[キャス?]

きみと出逢った山の山頂で

《……サム
おかえり》

涙で目を兎の様に
赤くした…カスティエルを見つけ出した

[カスティエル…あのさ]

《……》

[また…僕を描いてよ♪]

《…サム》

[あの時も
スランプだったんだろ?
今回もきっと
また抜け出せるさ]


カスティエルは僕に背を向けて
ゆっくりと言葉を
《私は…
きみが戻る前までには
スランプから抜け出したかった
そして…考えれば考える程に
藻掻く自分がいるのだ
私が裏ならサムは表で
常に劣等感さえ感じていたと気づいた
私は…きみから離れた方がいい
こんな情けない私は…
きみの恋人には不釣り合いだ》
僕に投げた

[…カスティエル?
それは…別れたいって事を
言いたいの?]

《きみも疲れるだろう?
こんなインドアな恋人は
きみは外を飛ぶのが好きだ
まるで天使の様に…
サム私はきみを解放するよ》

[な…なんだよそれ
僕の気持ちは?
一方的すぎやしないか?]

《……すまない
この答えが限界だ
たくさん伝えたい言葉を考えたが》

[僕を嫌いなった?]

《き…嫌いなものか
寧ろ私は…きみよりも
きみを愛しているよ
きみの生真面目で優しい性格や
逞しい肉体や
モデルの様な長身や
華やかな世界で活躍するサムを…
ただ…今の私は…
ナニモデキナイきみに
なにもしてやれない
絵を描かなければ金もはいらない
きみのただの重りだよ》

[……僕は
どんなきみも愛しているよ
傍に居てくれるだけでも
僕は幸せだよキャス]

《………すまないサム》


此処できみと出逢い
此処で…きみと別れるのか
余りにも綺麗な6年間の終止符

あの日きみはスランプで
あの日僕も仕事が無くて
実話新しい人生を始めるべきか
悩みながらこの山を登った

そこで僕は支えを見つけた
きみという支えを

そうだね
僕はきみにたくさん
その思いをぶつけすぎたんだ

きみはまだ
無名な僕を絵に描いた
きみは知らないけど
あの絵で僕は仕事が
たくさん来るようになり
きみは僕を…

ー…まるでスターみたいだな
きみは…モデルの原石だよサムー
スターに変えたんだよカスティエル

きみの絵は当時
強盗に入り盗まれて
強盗に売られた絵画が
世を騒がせたけど
本人はテレビや新聞は見なくて
土竜の様にアパートに
絵を盗まれた事に引きこもり
それを知ったのは
半年後だったと言っていて
僕はその時は既に有名になっていた

[……わかったよカスティエル
此処で…別れよう
あのマンションは使ってくれ
家賃は僕が払うから
僕はきみが好きなままだ
きみに新しく
好きな人が出来るまで
払わせてほしい…ッ…]

《……サミュエル》

[ありがとう
とても…きみには
たくさんたくさん貰った
地位も名誉も愛も
きみに全て貰ったんだ
どうか…幸せに生きて欲しい]

《……ッ…》

僕は思いが込み上げて
泣いてしまった
それをカスティエルには
見せては行けないと
僕は先に山頂を下りた

手ぶらで向かったのは
兄貴のアパート
僕はそこに転がり込み
俳優業を休む事に決めた

僕は…笑えなくなったからだ
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