†【another story】†

□†【beautiful world】†
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ーサム編ー



[ディーン!?
まだ!?遅刻する!
入学早々遅刻なんて御免だぜ!]

【…ふあぁ.。o○
サミー…おまえ何で学校行くの?】

[バスだけど…]

【……ふ〜ん
俺さ先輩のバイクに
のせてもらう事になったから
先に行っていいぞ】

[……バイク?
ああ…そう
じゃ 先に行くわ
ボビー!行ってきます!]

ーおう!気を付けろよー

【行ってらっさい.。o○】

[ディーン遅刻するなよッ!!]


僕の名前はサム
双子の兄と
育て親のボビーと暮らしている

母親は僕が幼い頃に
旅行先で事故にあい逝ってしまった
父親は…どっかに消えた
父親の仕事仲間のボビーおじさんが
僕達を育ててくれた

酒を飲む以外は
凄く良い人だ

[……]

ディーンはそんなボビーおじさんを
よく困らせる困った兄貴だ
この間
近所のオヤジに言われた
優等生と不良息子上手く出来たもんだと

ディーンは…人との付き合いが
少し下手なだけで
僕には優しくて
…子供の頃から変わらない
やんちゃな良い兄貴なんだけどね

初通学の為のバスは通勤ラッシュ
サンドイッチ状態だった
兄貴はバイクで正解だ
僕は長距離だけど
自転車で通おうかなと思った

これから僕は忙しくなる
何故なら弁護士を目指して
ある大学へ行くための
金も稼がなくてはいけない
何もかもボビーを頼りたくないから

あるバス亭で更に人の波が
僕をサンドイッチにした
僕に向き合う様にサンドイッチにされた
ダークブラウンのふわふわした髪が
目の前にあらわれた
よく見ると同じ学制服の同じ学年だ

[………]

「………」
身長差があって
僕には前髪しか見えないけど
女の人の様に白い首が見えた

ゴソゴソと彼はポケットからハンカチを取りだし
ソレで口元を押さえた

あれ?酔ったのかな

僕は思わず声をかけた
[…大丈夫か?]
すると彼は上を向き
「あ…すみません
大丈夫です…少し
気分がよくないけど」
そう言葉を放った彼は
とてもとても綺麗な青い瞳だった

[…寄りかかって
どうせ着く場所は一緒だから]
「ああ〜…でも」

[男同士だからって
気にしていたら
きみ吐いちゃうよ?]
「…きみがよいなら
ありがとう…助かる」

今までに居ないタイプ
とても素直な彼は
遠慮がちに僕に寄りかかった

僕はそんな彼が更に
押し潰されない様に
ぎゆッと抱き締めた
「!」
驚いた様に垂れ目の青い瞳を
丸くした彼に

[もうサンドイッチにはならないよ
何なら寝ててもいいよ]
「…ッ…本当にありがとう」

[僕の名前はサミュエル
えっと…サムって呼んで]
「僕の名前は…ジミー
宜しくサム…」

入学早々に僕は
ジミーと言う
なんだか可愛らしい彼と
友達になった

やっぱバスをこれからも
利用しようと思うほど
僕は彼を気に入った

ジミーはとても綺麗な容姿をしてる
長い睫の垂れ目の青い瞳に
すッと通った鼻筋に
血色の良い唇
それに女の人の様な真っ白な肌は
過ちを犯してしまいそうなくらい
綺麗な男子だ

「…サム?」
[ん?]

「同じクラスだと…いいね」
[ああ♪そうだね
仲良くしようジミー
宜しく]

笑うとまた可愛い


ん?…既に少し
道が外れた気がする
でも
僕は性的な差別をする気はないし
これも運命なら
僕の心に従おうと思うんだ

柔いダークブラウンの髪は
とても良い匂いがしたし
彼は全てがperfectだ

バスから下りて
僕達は高校までの道を歩く
他愛ない話をしながら

すると後ろから
バイクの走る音と
ーサミー♪ー
陽気な声が…

兄貴だ

【なんだおまえ
もうひっかけたのか?
ムッツリ野郎め♪】
バイクで横を通り過ぎながら
兄貴が言葉を投げた

[制服を見ろよ…
ごめんねジミー]
「え?…いや
大丈夫だよ
元気な友達だね」

[アレさ
双子の兄貴なんだ]
「!」

[はは
似てないよね
あんな不良みたいな兄貴でも
綺麗な顔は母親譲りなんだ
僕は父親似だからさ]
「違うんだ…
僕も双子の兄がいるんだよ」

[え?…そうなのかい?]
「うんうん
僕達の場合
全く同じ顔なんだけど
名前はカスティエルって言うんだ
‥今日は風邪をひいてて
休みなんだけどね
少し身体が弱いんだ僕の兄」

[‥ジミーが二人♪
カスティエルに会えるの楽しみだな♪]
「そう?
少し気難しいけど
サムになら懐くかな…くく」

[気難しい?]
「うん…人見知りなんだよ
小さな頃によくさ
入院を繰り返してたから
人との接触が少なくてね
それが原因かなって叔父が言ってた」

[叔父?]
「‥‥‥ん
僕達…両親が居ないんだ
叔父さんが養子にしてくれたんだよ」

[ああ〜…ジミー?]
「?」

[此処まで環境が被ると
不思議な感じがするよ
僕もさ両親が居ないんだ
僕の場合は父親は蒸発で
父親の昔からの知り合いが
育ててくれてるんだけど…]
「そうなんだね
僕達…そっくりだね♪
きっと凄く仲良くなれるよ!」

[‥‥‥*]
「??」

困った
本当に可愛いやジミー…
無垢な雰囲気が
何よりも癒された
この初めてあった短い時間で
それって凄い事だよなきっと

まるで
天使みたいだジミーは

「サム♪見て掲示板
僕と同じクラスだよ」
[おお♪やった!
あ…]

「ん?」
[きみの兄貴と
僕の兄貴も同じクラスみたいだよ]

「‥本当だ
今日 帰ったらキャスに話そう」
[?]

「ふふ♪
サムの事を
あとディーンの事をね」
[はは♪
仲が良いんだね]

「うん…キャスには
友達は僕だけだからね
この高校生活でキャスにも
僕以外に友達ができればと
思っているんだ」
[僕も友達になるよ♪]

「!」
[?]

「‥いや…何でもない」
[何?何?
気になるんだけど]

「‥‥‥サミーは
出来れば…僕だけの
友達がいいなって…
ああ〜…僕ってば嫌な奴」

[‥‥‥*]
だからだから
何でそんなに可愛いんだよジミー

[じゃあマズさ
兄貴に友達になって貰おう
僕 昼休みに話してみるよ
ちょっともしかしたら
難しいかもしれないけど…ね]
「難しい?」

[物凄い女好きなんだよ
男には余り興味を示さないんだ]
「ああ〜…くく
そんな感じがしたよ悪いけど
僕を女に間違えたくらいだしね」

[うん
でも凄く良い兄貴だから
カスティエルも気に入ると思うよ
兄貴はチャラいけど
いつも僕を叱る時は
正しい事を必ず教えるから
それに兄貴は…僕が一番だから
僕の言うことは何でも聞くんだ]
「‥‥なるほど
サミーって仔犬っぽいしね」

[え?]
「何て言うか…
擦れてなくて真っ直ぐで
優しい雰囲気が凄く漂ってる
きっと…大事に守られてきたんだなって
‥あ…ごめん…皮肉じゃないよ」

[‥‥そうなんだよな
僕は兄貴に随分と守られてきたよ
だからかな
僕達兄弟は依存が激しいんだ]
「‥‥うん
僕達兄弟も同じだよ」

[あ…ジミー
入学式遅れる!!]
「やばい!走らなきゃ」

今日からはじまる
高校LIFEが
とても楽しそうだ

【サミー♪
残念だ…クラスが違うな
あ…おまえ男だったんだ】

[‥兄貴
失礼な言い方するなよ]
「うわ…真ん前で見ると
凄く綺麗な顔をしてるね
サミーのお兄さん
‥あ!…僕の名前はジミーです
宜しくディーン♪」

【‥宜しく
おまえこそ可愛い面してんじゃん
デッカイ犬の面倒宜しくな
こいつ結構人見知りだから】

「え?!」
[‥‥]

痛いとこ教えたな兄貴
実話そうなんだ
父親に振り回されて
小、中転校続きだったから
兄貴よりは他人の中に入りやすい
性格はしてると思うけど

ジミーが初めてだったな
こんなに直ぐに
打ち解けたのは

[あ…兄貴
昼に話したい事があるから
僕のクラスに来てよ
どうせ夜は居ないだろ?]
「あ…うんうん
ディーン来てくれる?」


【OK!サミー
また昼な♪】

もう既に女生徒に囲まれてる兄貴を
ジミーは凄いなと呟いた
女の人にはなつきやすいからな
兄貴は…
きっとマザコンの影響だろうと
それも昔ボビーが言ってた

確かに兄貴はマザコンだ

「サミー♪
体育館に急ごう!」
[ああ♪]

ジミーが手招きしながら
僕の前を走り出した

あ…いま

きみの背中に真っ白な羽が見えた
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