†SPECIAL story†

□†【10】†
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†カスティエルへ
元気にしているか?
久しぶりに顔を見せに来てはくれないか?
用が無くても構わないぞ
仲間がきみの自慢の手料理を
食べてみたいと言っているしな
ああ〜…何よりも
私がきみに逢いたいのだが…
《…いつでも
駐屯基地で待っている
ヘンリーより……ラブレター?》

【捨てちまえ】

《……そう言えば
最近は大佐の顔を
見ていないな…》

【忘れちまえ】

《任務や支援物資の救援は
チャックが行っているしな…
俺を誰かさんが
キャンプに閉じ込めているから
あ…写真だ》

【………】

《ディーン…ディーン》

【…なんだよ
おまえの銃も持ってこいよ
手入れをしてやるから】

《…この
彼等がもっている
火花を放つものは何だ?》

【花火だ】

《花火‥
綺麗だな…とても》

【見たいのか?】

《見たい♪》

【…逢いたいのか?
大佐や兵隊達に】

《彼等は
俺をたくさん救ってくれていて
大事な…者達だ》

【友達だもんな】

《友達はきみだけだ》

【…】

《久しぶりに…
逢いに行ってもいいだろうかディーン》

【…そうだな
無精髭も生えたし行ってこい】

《…なぜ
無精髭が関係あるのだ??》

【わからない方が
幸せな事がある】

《‥なぜ
俺の顔を見て話さないディーン》

【今は
銃の手入れをしてんだ】

《…よし
行ってこよう
今日はする事はないしな♪》

【おいキャス
銃の手入れは?
…あと服は着て外に出ろ】


《きみも行くだろう?》

【は?何故?】

《一人では不安だ》

【………】

と言う事で仕方ない
俺とキャスは
ガソリン事件以来の訪問
ヘンリー大佐達へ
逢いに行くことになった

俺とキャスが駐屯基地へ着き
車から下りると
基地内へ隔離区域内を
回ってきたと思われるデカイ車が
3台入ってきた
その中にヘンリー大佐が

ーおお〜
キャスにディーン
逢いに来てくれたのだな♪ー

真っ白な歯が眩しい大佐


ヘンリー大佐はきっと
俺より少し歳上で若い
なのに
たくさんの部下に慕われ
とても貫禄もある


ー…キャス♪ー
《うぐッ…》

【……】
キャスの身体は彼の中に
すっぽりと嵌まる
人間の中で
こんなにも頼れる人間は
酒飲みボビー以来だと思うと
キャスは車内で言っていた

【大佐
怪我をしたのか?】
《?》

ー…ああ
部下が襲われてな
救う時に…ー

【何に襲われた?】
《…ディーン》

一人の部下が大佐の前に立ち
悪魔にと言葉を投げた
それに続くように周りも
まぁ…悪魔なら
感染する事はないからな

《見せてみろ》

キャスがヘンリー大佐へと腕を伸ばす
するとヘンリー大佐は
ー…カスティエル
この御時世だ
他人の傷は不要に触れない方が良い
医務室へ行ってくる
キャスにディーンゆっくりしていけー
いつもとは…違う
落ち着いた口調で言葉を投げた

《…ヘンリー……大佐》

ーキャス…ヘンリーで構わないー

《俺は今日は
ヘンリーときみの仲間と
花火がしたくて来たのだ
花火を見てみたい》

ー…花火
ああ〜…あの写真を見てくれたんだな
そうだな暗くなったらやろう
おまえ達!花火の用意をしておけ!
……では…また戻るキャスー

《ああ…》

ーディーン…先に酒を飲んで待ってろー

【…どうも】
確かにな…
この御時世
無闇に矢鱈に怪我人には
触れられないな

だが…あの男は
俺とキャスの言葉を信じて
救いだしたんだよなあの時


暗くなり俺達は
駐屯基地内の
雑木林へと歩き

満天の星空の下で
男ばかりで集まり
酒を呑みながら久しぶりに
ゆったりした時間を過ごす

【………】
いつも以上にヘンリー大佐が
キャスを近くに置きたがり
独占しているのが
少し気にいらねぇが…

ーカスティエルが来る前はさ
俺達はただ
感染者や悪魔をひたすら倒す
日々を過ごしていたんだー
【……】

ー…俺達は
きみたちと同じで
家族や恋人を亡くし
ただ復讐心で
ひたすら任務をしていたよ
中にはゲーム感覚で
楽しむ輩もいたがー
【…ああ】

ー笑顔が
ソコにはなかった
随分と笑わず
まるでロボットの様に
過ごしていたんだ
……ヘンリー大佐もなー
【あの大佐が?】

ーああ…いまの
きみが知る大佐の笑顔は
カスティエルが思い出させたんだ
本来の大佐の笑顔ー
【…キャスが?】

ー…カスティエルはドラッグで
常に笑っていたよ
でもさ…カスティエルも
随分辛い思いをしていると
ヘンリー大佐が言っていたから
それはこの地上の人間が
止める事は…難しい
身体は大事だと伝えることしかな
俺達は兵士だろ?
いつ死ぬかわからない世界だから
余計…止めにくいよー
【…………】

ーでも
笑顔って重要だよ
彼の笑顔が
自分達には必要だ
猫みたいで…可愛いよなー
【…猫ね】

俺の知らない場所で
ラリっているキャスが
こんなにも
こいつらを変えていたとは…

愛され天使だな…うちの天使は

あいつもあいつで
辛いだろうが
《…此処に火をつけるのか?ヘンリー》
ー気を付けろよカスティエル
火傷しちまうからー
《…うむ♪》
ー……ー

ヘンリー大佐が…
キャスを好むのは
笑顔で本当はいたいからだろうか

《…おッ!!……花火だ♪》
ーははは♪ー

ドラッグでラリっている
キャスは無防備な目をして
ヘンリー大佐を見ながらはしゃぐ

大佐は可愛くて仕方がない様子で
親みたいに見つめている

【…可愛くてたまらんか】
ー?ー

【…俺も随分
あいつに助けられて来ている】
ー…きみとカスティエルは
どんな関係?ー

【俺と…キャス?
ん〜……なんだろうな
親友の様な…一緒に生まれた双子の弟みたいな
家族だと思っているが
あいつを誰よりも大事だと思ってもいる】
ーカスティエルをきみは抱くの?ー

【ああ…】
ーそうか
じゃあ恋人みたいな
存在でもあるんだな…ー

【…どうかな】
ー遊びは許さないぞディーン…
きみは遊び慣れしてそうだー

【あいつも遊び慣れしたぜ
キャスのペ●スの女の信者が
キャンプにはたくさんいる…くく】
ー!ー

【?】
ー…笑うとやっぱあんた綺麗だな
いつも仏頂面だから
悪い悪い…くくー

【……いや
別に気にしない
それより…】
ーなんだ?ー

兵隊達の輪から
少し離れた場所で
兵士がうずくまっている
【あいつ…大丈夫か?】
飲み過ぎて酔っぱらったのかと
思ったが

ーヤバイ!
ヘンリー大佐ッ!!ー

隣で話していた兵士が
血相変えて
ヘンリー大佐へと駆け寄った
そして…

うずくまっていた兵士が
ゆっくりと立ち上がると同時に
ー発症しました!ー
そう言葉を叫んだ

【!?】
発症?…まさか
感染したのか!?
そう言えばあいつ肩に
包帯を巻いている

感染者と変わり果てた兵士が
形相に変わり俺達を見て
ーカスティエルッ!!後ろへ!
ディーン!銃を構えろ!ー
ヘンリー大佐が言葉を投げた

おい…もしかして
あいつを救うのに
【……】
ヘンリー大佐も…

いや…そうしたら
同じ今
大佐が発症するはず…だよな

感染者となった兵士が
声を放った大佐へと
もの凄い早さで駆けていく
《…ヘンリー?》
ー…あいつは俺の
一番兵士だったんだ
だから俺は…どうしても
その場で発症する前まで
やつを殺せなかったー
キャスもいる方へ

【キャスッ!!】

キャスは銃を所持していない
《!!》
変わりに天使の刀を腰から出してヘンリー大佐の横で構えた

感染者に兵隊達は銃を向けてはいるが
誰一人撃つものはいない
ヘンリー大佐に…彼等は
委ねている感じに見える
信頼をしているのだろう

ただ
【キャスッ!!逃げろッ!!
ヘンリー撃たねぇと
俺が撃つぞッ!!】
大佐の指は微動だにもしない
真横にはキャスがいるのに

あと10メートルくらいに
感染者となった仲間の兵士と
ヘンリー大佐とキャスの距離が縮まった

そして
《ッ!!》
キャスへと感染者となった兵士の腕が伸びた瞬間に
ー…おまえは
優秀な俺の部下だよジョンー
そう優しく言葉を放ち

静かな雑木林の中で
パンッ!!一発の銃声が響いた

ヘンリー大佐の銃弾は
心臓を貫いた
動いている者を一発で
…相当な射撃の名手だ
そしてヘンリー大佐は

《ッ!!》
キャスにその銃を手渡し
ー彼の数分後に
私は感染者に噛まれている
カスティエル…どうか天使のおまえが
私を始末してほしいー
そう言葉を投げた


【……】
大佐は代わり行く身体の中で
耐えていた様だ
ギリギリまでキャスとの時間を
味わう為に

兵隊達が声を出して泣き出した
仲間と大佐との別れに

《…ッ…出来ない
俺には…あんたを
殺せない…
あんたの部下がやるべきだ
長く共にした部下が》

ー…きみは神の戦士だ
神の代わりに
私を天へと逝かせてほしい
彼等には…話してある
どちらにしても
きみを発症する前に
呼ぶつもりだった
だがきみは自ら来たのだ
これは…運命だよカスティエルー

《………》

ー…カスティエルー

酷な選択を迫られた
昔のキャスならきっと
感染者として躊躇いは無かっただろう

今は違う
あいつは人間になり
人間に囲まれ
助けられながら生きてきた

《ヘンリー…
きみと出逢えて
私は幸せだ》
ーああ…私もだよカスティエルー

《出来れば
またきみに逢いたい…ッ…》
ーああ…私もだよキャスー

キャスが心を決めたのか
銃を強く握ると
ーぎやあああッ!!ー
悲鳴が上がった

見るとさっきトイレと抜けた兵士で
ー…そうか
発症したのか…ー
そう呟き
そいつは周りを見渡し
キャスと大佐に目を止めて


ーダメー!
撃つな撃つな!!ー

血相変えて二人へ駆け寄る
ヘンリー大佐が
ー私も彼の後に
彼を噛みついた感染者の
後ろに居た奴に
噛まれたのを見ただろ!?
止めるな!!スタン!ー
そう叫ぶと

ー俺は見ました!!
大佐にボコボコにされて
逃げ出すのに噛みついた奴は
真っ黒な目をしてましたッ!!
感染者の目は黒ではないです!
よって大佐を噛んだ奴は
感染者では無いですッ!!
あ!写メりました!俺!
咄嗟に写メりました!
だって疑われたら
ヘンリー大佐は殺されちゃうから!ー
ワタワタしながら早口で叫び
何が何やらで
だが…兵士のiPhoneの画面には
【………】
確かに噛みつかれた大佐の背後からの写メは
バッチリとカメラに感染者ではなく
悪魔が写っていた

《…ヘンリー…悪魔だ》
ーえ?ー

《きみは…悪魔に噛まれたのだ
悪魔は人間を器にしている
ワザワザ感染して痛んだ器を
自分の身体にする悪魔は居ないから》
ー…私は
感染をしていない?
し‥信じられない
とても不安だ…ー

《…きみを噛んだのは
この画面の通り悪魔だ
安心したまえ
きみの怪我は
ただの怪我だヘンリー大佐》
ーきみを!襲うかもしれない!
私の身体は…確かに
異常を感じているのだ!ー

事実を受け入れられない
ヘンリー大佐の前に立つ兵士が
ー…噛まれて
膿んでいるからでは?ー
おずおずと言葉を投げた

【化膿したんじゃねぇか?
結構悪魔に噛まれたのなら
傷口は抉れたろ】

ー…あ…ああー

それでも信じないヘンリー大佐に
キャスが提案をした
《…では
俺がきみを小部屋で
監視をしよう
もし…発症したら
きみを俺は撃とう》
ー…カスティエルー
そしてヘンリー大佐は
そのキャスの真剣な言葉に同意した

【…キャス】

二人だけにはしたくない
何かあるわけは
無いとは思うが
ヘンリー大佐はキャスを…

《…ディーン
俺は彼が感染していないと
彼と一緒に見届ける
俺は彼を亡くしたくないのだ》
ー…カスティエルー

ヘンリー大佐とカスティエルは
二人で雑木林から消えていく
俺と残された兵隊達は
感染した仲間の遺体を始末し
談話室で結果を待つことにした
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