†SPECIAL story†

□†【8】†
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ーおかえりディーン…ー

【‥ああ】

ーカスティエルの足のギブス
今日取れるみたいよー

【!】

ー今
カスティエルの部屋が
人でごった返してるわー

【リサ…車を端に寄せて
停めておいてくれ】

ー了解〜♪…ー

2ヶ月経ち
カスティエルの足が完治した
今日から生足で
歩けるようになる

生存者や信者は
それはそれは
喜んでいるよ
あいつはやはり
人間とは少し違う雰囲気で
最初は何処かの金持ちか?と
よく質問を受けた

ただの世間知らずの
一文なしだが
服すら俺の服を着ていたし

やはり天使の気質からだろう
高貴な何かが
漂っているからだ…今も
酒やドラッグやsex暮らしでもな

あいつはこのキャンプの
ある意味紅一点だ
これは皮肉だ

確かにキャスのウッドハウスは
まるで…懐かしいな
事件現場に集る
野次馬の様に集まっていた
【……】
そんな中を潜り抜け

《!…おつかれディーン*》

笑顔を向けるキャスへと近づいた

【先生…本当にもう
ギブス外して平気か?
こいつドラッグやってっから
骨が脆いだろ?】
ーはは…確かに
脆くはなっているだろうが
まだギブスはあるから
無理ならまたつけるさー

【…そうか】
ーははは…
まるで本人よりも
ディーンさんの方が心配しているなー

そうだ
当の本人は…
《…〜♪》
早くギブスを外したいらしく
外し方をしらないくせに
弄っている

ーじゃあ…外すよカスティエルー

《ああ
頼む先生♪♪》

医者がキャスのギブスを外した
すると真っ白な生足が解法され
何故か周りが跳びはねながら喜んだ

《…立ってもいいか?先生》

本人は医者に
青い瞳を光らせて
そう言葉を投げた

信者達がキャスの周りを囲みこんだ
キャスはそんな信者に支えられながら
ゆっくり立ち上がり

《……♪》

【…?】

俺をジッと見つめてから
ゆっくりと俺に向かって歩き出した

《‥痛くない
痛くないディーン♪
人間の身体は凄いな治った》

覚束ない足取りで歩いて
【…!】
《わッ!!……足が変だディーン
力が入らない》
動揺しながら言葉を投げた

【…腕の時と一緒だ
筋肉が落ちたんだ】

《ああ〜…なるほど
では今日から筋トレを
始めなくてはいけないな》

【今日から?
今日ギブスが取れたんだぞ
無理をするなキャス】

《…大丈夫だ
無理をしても死なないだろ
2ヶ月も…俺は
何も出来なかった
俺は…只でさえ足手纏いなのに》

【何を言ってんだおまえ
足手纏いなわけねぇだろ】

ふとキャスはキャスに戻る
《………》
そんな時にはきっと
天使だった頃の勇士を
思い出してしまうのか
酷く寂しそうに眉を下げる

そんなキャスに周りは
慰めの言葉を放つが
キャス本人には
余り届いてはいないだろう


外から重い重い車の音が
聞こえてきた
【…?】
まさかと思うが
誰かが連絡をしたのか?

重い重い車の音が消え
革靴の音がウッドハウスに近づき
おもいきり扉を開いて
ーキャス!!
お〜♪ギブスがとれたんだな!ー
入ってきたのは
国の番犬のヘンリー大佐と
キャスファンの…番犬達だ

俺とキャスの間に
国の番犬達が入り込み
キャスを取り囲む
そしてヘンリー大佐は
軽々とキャスを抱き上げた

ー…よかったなカスティエル
な?みんなも
心配してたんだよな?ー

ーはい!ー
ーカスティエルさん!よかった!ー
ーキャシー…無事で何よりだー
ー酒を持ってきました
飲んでください♪ー

呆気にとられる生存者達と
キャスの信者達
【………】
「いや〜…連絡をしたら
たくさん来ちゃったね!はは」
そして…苦笑いのチャック


【…天使の力なのか】
「いや〜…ドラッグの
らりっパワーだと
だってカスティエルは
ドラッグ抜くと仏頂面だよ」

【……ドラッグの力なのか】
「ん…現実はドラッグね」

その日はキャスのウッドハウスは
日が暮れるまで賑やかだった
けして国の番犬も
今は裕福では絶対にないが
キャスの為にたくさん
酒や菓子や……ドラッグを持ってきた

【……………】
ドラッグの出所って…

静まりかえった
キャスのウッドハウス
俺とキャスがやっと二人になり

《‥‥はいウォッカ♪》
【ありがとう…】

キャスは俺に酒を進めた

《本当に‥2ヶ月もすまなかった》
【?】

《俺だけだ…ただ寝て
みんなに奉仕されていたのは
みんな忙しいのにな》
【‥おまえは
ここの奴等の為に戦い怪我をしたんだ
周りが世話をするのは当たり前だ
それに怪我人なんかを
戦場になんて連れていっても
足手纏いなだけだ
おまえは寝ていて正しかった
悔やむ必要はねぇよ】

《……そうか》
【ああ…】

《美味いか?ウォッカ
とても良い酒だと
大佐が言っていたよ》
【ああ…聞いてた】

《…怒ってるのか?》
【………………いや】

《くく‥常にか》
【嫌味か?】

《ディーン…》
【?】

《風呂に入ってくる》
【ああ…】

《あ…悪いんだが》
【なんだよ?】

《洗ってくれないか?
ついでに運んでくれ》
【………】

まぁ…そうなるな
あんなふらふらじゃ
外に設置してある
男湯には行けないだろうな

キャスをおぶり
俺は外へ出た
周りは電気は消えていて
微かに聞こえるのは
常に聞こえる気味が悪いうなり声のみ

《‥‥》
【?】

その気味が悪いうなり声に
キャスは俺の首に回す腕を強くした
守りたいのだろう…俺を

無理をするなと言っても
身体は人間だが
中身は天使だからな

《‥ディーン》
【あ?】

《‥怖く…ないのか?》
【怖くねぇよ】

《本当か?》
【‥ああ】

《…きみはやはり凄いな
私は…きみが守れるか不安で
あの声が怖い》
【‥馬鹿め
俺が……俺を守れる】

《……そうだな
きみの言う通りだな》
【着いたぞ下りろよ】

キャスは俺の耳元で
中まで運べと囁いた
まるで強がる様に

風呂場の中へ
二人で真っ裸になり
《…*》
【やめろよ
後で俺は洗う】
髪を洗い合う

中途半端に洗われた髪のまま
《ああ"〜♪》
【‥変な声だすな】
キャスの頭を洗っていく
キャスは気持ち良さそうに
蕩けた様に目を瞑った

全身洗ってやってる間に
痛いとか丁寧とか
イチイチ注文してくるが
‥それは頼んだ相手を
間違えているおまえが悪いと
俺は手を止めなかった

ー…ディーンー

ー目を瞑れ
流すぞ…あ…鼻も塞げー

ーえ?……わッ!!ー

ーははは♪ー

ー………うッ…うぅッ
おとうさん!ディーンが!
嫌なことするッ!!ー

ーおまえがどんくさいだよ
はははははは♪ー

【‥‥‥‥】

ー…子供かよー

ー子供はおまえだサミーー


《‥ディーン?
どうした?》

ーディーンが…子供なんだよ!ー

【……ッ
後は…自分でやれ】


箱に閉じ込める記憶
弟の記憶
閉じ込めたからって
些細な事で
ふと…思い出す

当たり前だ
俺の唯一の家族で
…最も愛していた人間だ

それの繰り返し

《‥ああ
自分でやる…ありがとう》

この箱から溢れ
止めどなく
流れだす記憶と

【……】

女女しい自分が
同時に顔を出す

《……ディーン》

ふと…思い出す
ソレはいつも
こいつと一緒にいる時だ

だからと
キャスが居なくなればとは
考えた事はない

キャスが居るからこそ
箱に閉じ込めてしまった
俺の過ちを
思い出させられ
俺は…また
ルシファーを殺す意欲に変える

忘れてはいけないリアルだ

この箱に閉じ込めている記憶は
俺の過去じゃない

けして過去にしてはいけない現実

沸沸と身体を侵食する
俺の過ちが侵食する
それをまた箱に閉じ込める
でないと
とてもじゃないが
俺は俺を保てない

泣き虫だった俺は
弟の為に泣いていた俺は
仲間の為に泣いていた俺は

もう
泣いてはいけない

俺が選択し
起こしたリアルに
悔やんで泣いていてはいけない

《…ディーン?
ああ〜…俺が
此処を出ようか?》

おまえは離れるな

俺から離れるなキャス

わかっている
わかっている

今も俺をどう考えているか
わかっている

おまえは今
こうなる俺に戸惑っていると
いつも扱い方に戸惑っている

おまえは全てを見てきた
俺の全てを一緒に見てきた
辛いよなキャス
おまえにドラッグを
飲ませてしまったのも…俺だ

おまえは常に俺だけだ

キャスの身体を力ずくで押し倒す
《!!》
逃がさない様にと
【‥‥】
まるで獲物を捕らえる様な俺は獣

だが弱々しく
獣に震える獲物は
いつも…ソコには居ない

《…くく♪》

やらしく舌舐めずりをする
逆に獣を誘惑する
これが…天使であって
人間では無い証拠

俺は昔から神や天使を信じていない
奴等は大事な時に
守ってはくれなかったからだ

俺が信じるのは
たった1つ
裏切らない者だけ
こいつはまさにソノ存在

《‥そんなに
力んだ身体で襲われては
私の身体が壊れるディーン…》
【んなに柔な魂かよ】
《魂は無いが玉はある》
【似合わねぇ下ネタはよせ萎える】
《うむ…
萎えてもらっては困るな
スイッチが入った私は萎える事はない
きみに抱かれないと
他の誰かでも…無理だからな
とうの昔に立証済みだ》
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