†SPECIAL story†

□†【7】†
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《はぁはぁ…クソッ!!
ディーンッ!!ディーンッ!!》

視界がその日は
とても悪く
まるでルシファーに
邪魔をされている様な
雷雨だった

この日
隔離区域の奥地へ潜った
ソコの悪魔は強者が多かった
…とても近くまで
ルシファーに近づけていたのかもしれない

俺達
生存者を1つのキャンプに纏める
リーダーの…ディーンが

深傷を負った

けして劣勢では無かった
悪魔を倒し
感染者も倒し
あと…一歩近づければ
新たな奥地に居る悪魔を
捕らえる事が出来たのだ

それは
悪魔をディーンが拷問し
コルトとルシファーの居場所を
吐かせる為の


【…………】

あと一歩の時に
視界を遮られる程の
眩しく光る稲妻が近くに落ちた

《ディーンッ!!ディーン…》

俺達は眩しくて
一瞬瞼を閉じたのだ

その一瞬で俺は足をやられ
ディーンは…そんな俺を庇う様に
背中を切られた

無意識だったと俺は思う
元々のディーンの
人を守る為の行動
俺を無意識に庇った

《ディーンッ!!》
【………】

仲間は悪魔にやられ
俺は折れた足を引きずりながら
悪魔と感染者から
銃を撃ちながら逃げた

逃げた場所は…
建物の死角

凶暴化した感染者が
いちいち覗き込まないだろうと
思うような狭い路地裏だ

ここから…どれくらいで
俺達が乗ってきた車に辿り着くか
仲間は…やられてしまった

《はぁはぁ…》
【………】

彼をこの場から運び出し
逃げる事が出来るのは
俺だけだ

無意識に指を彼の額に当てていた
…力があればこの仕草で
俺の羽で飛ぶことが出来ていたからだ

足が…凄く痛い
今にも意識が飛びそうだ

だが…
《はぁはぁ…》
彼の背中から
溢れる血は是が非でも止めたい

彼は…生存者達の光だから

こんな俺を庇って
死なせるわけにはいかないのだ

【‥‥ッ…うぅ】

ディーンが痛みで顔を顰める
《ディーン…大丈夫だ
俺が死なせない…はぁはぁ》
ぎゆッ…と抱き締めたら

俺は彼を背負い
雷雨の中を歩き出した

走ることは儘ならぬ
折れた足を引き摺り
彼を背負い…壁に手をつけ
必死に歩く

歯を食い縛り
俺は激痛に耐える

…耐えるんだ
足が折れたからと
俺は死ぬ訳じゃない

だが
ここで白旗をあげたら
俺はたくさんの人間から
【………】
希望の光を…消すことになるのだ

《きみは…生きるのだディーン
はぁはぁ…きみを
私の…せいで死なせられない
ディーン…ディーン…ッ…
すまない…本当にすまない
私が無力で…すまない》
【…はぁはぁ…キャス?】

《はぁはぁ…大丈夫か!?》
【ああ…おまえは?
悪魔に…吹っ飛ばされたろ
痛む…とこは無いのか?…キャス】

《私は…大丈夫
心配いらない…はぁはぁ
きみの背中の切られた傷の方が
はぁはぁ…重傷だ》
【‥はぁはぁ…わりぃなキャス
絶対に…】

《?》
【俺を…生かせ…はぁはぁ
俺は…死ねない
ルシファーを撃ち殺すまでは…キャス】

《…勿論
絶対にきみは‥生かすよ》
【………】


そろそろ車の場所へ着く
勿論逃げる為に
そんな遠くへは駐車はしてない
腕の時計を見ると
《‥ディーン…はぁはぁ
きみは…luckyだ…はぁはぁ》
【………】
そろそろ国の番犬達が
射撃ゲームを隔離区域で始めている

少し奥地へ俺達はいるが
《‥!》
【……】
聞こえてきた…銃声音だ

激しい音をたてながら
車が目の前に
俺はディーンを下に置き
両腕を上げて
《助けろッ!!》
目が合った国の番犬に叫んだ

またluckyだった
その番犬は
ディーンには内緒だが
信者希望をしている男だった

ー大丈夫かい!?
きみは足を!?
きみのリーダーは……ー

《違うッ!!感染はしていない!
背中を切られたのだ!
私の車まで乗せてくれ!》
【……はぁはぁ】

ーわかった!さぁキャシーも
俺に掴まれー

《…はは
逞しいな…
ディーン…頑張れ》
【はぁはぁ…】


車まで乗せてもらい
国の番犬の彼は
俺達の乗ってきた車を運転し
キャンプまで運んでくれた

チャックや仲間が駆けつけ
ディーンを医療小屋へと運ぶ
俺は国の番犬に背負われながら
ー…キャシー
俺を信者にしてくれる?ー
《…ああ
前向きに…考えておくよ》
そう言葉を投げて
治療の順番を待った

適当に笑っていれば
周りは警戒をしないと
俺は人間になってから知る
ディーンとチャックには
時にバレる時があるが
大抵はガードを消すのだ

ー…本当に?ー
《ああ…命の恩人だよきみは
リーダーの許可がおりればだが》

ー…許可が必要なのかい?
きみの事なのにー
《ああ…俺は彼の
物だからね…くく》

ー…許可を取るのは
手強そうだなー
《…はは》

そして嘘が上手くなった
ディーンが昔言った
出世する為の…ってやつ

激痛から汗が止まらない
そろそろ意識が飛びそうだ
もう…倒れてもいいかな

《はぁはぁ…ヘンリー大佐》
ー大丈夫か!?キャシー…ー

《だ…駄目そうだ……》
ーカスティエル!?
おいッ!!医者は他に居ないのか!?ー


意識を飛ばしたら
目を覚ましたのは二日目の夜中

折れた足は固められて
隔離区域から
抜け出していた時よりも
更に激痛が走っていた

《…………》

これは…前にもやった
前は腕だったが
また2ヶ月はベットが
俺の友達だ

《……はぁ…うッ!!》

それにしても……痛い
痛すぎる
痛すぎて怒りが湧くくらい

《はぁはぁ…地獄の中の地獄だ》

俺は痛み止では無く
愛用のドラッグの瓶に腕を伸ばした
こんな俺の為に…
たくさんあるわけじゃない
医療薬を飲むわけにはいかない
これは…人間の為の薬だから


暫くすると
俺のウッドハウスに訪問者
様子を見に来たチャックだった
どうやら毎日
様子を見に来てくれてたらしい
俺の美しい信者達と

道理で身形が綺麗なわけだ
《……髭が》
髭まで剃られている
髭は剃るなと…言われてたが

「…顔色悪いけど
顔色良くなってきたね」
《??》

「ああ〜…カスティエル
心配してたんだ!
中中目を覚まさなくて!」
ぎゆッ…
《ぐッ!!苦しい!》

「…痛み止飲ますね」
《ああ〜…いらない飲んだ》

チャックは痛み止のシートの数を見て
首を傾げ
「……なんの薬よ?カスティエル」
呆れた様に言葉を投げた

《…ディーンは…無事か?
逢いたいのだが…》
「ディーン?
縫った翌日から
銃を持って歩いてたよ…
無茶するなって誰が怒鳴っても
全く聞かないでさ…」

《…くく
そうか…無事か…よかったぁ》
「毎晩カスティエルに逢いに来てたよ
天使の寝顔を見て
手を握っていたよカスティエルの…」

《…そうだったのか》
「ああ…
ディーンはカスティエルが
無傷だと思ってたみたいで
足が折れてたって言ったら
珍しく顔面蒼白だった」

《…顔面蒼白??》
「ああ〜…とにかく
自分より重症だった事に
ショックを受けてたんだって事ね」

そうか…
俺が大丈夫だと言ったから
足が折れてるとは言えなかった
言ったらきっとディーンは
俺を頼らず無理をし歩いてた

《……その花は?》

「ああ〜…
ヘンリー大佐からキャシーへ♪だって
本当モテモテだねカスティエルは」

《…治ったら
お礼をしなくてはな》

「!!」

《??…なんだ?》

「…一応…聞くけど
カスティエルはどんなお礼を??」

《…何でも
命の恩人だリーダーのね》

「……カスティエル」

《??》

「みんな…リーダーの生還と同じくらい
きみの生還を喜んでいるよ」

《……そうか
心配をかけたなチャック》

「…うんうん」

《泣くな…》

「いやいや…泣く場所だから」


言われてみると…
初日はずっと
身体の半身が
あたたかかった気がする
もしかしたら
《………*》
俺のベットにディーンが居て
俺は抱き枕だったのかな


「…さて
また太陽が出る頃にくるね
痛みは?」

《ああ〜…薬が効いてきた》

「ラリってきたんだね
おやすみカスティエル…」

《…おやすみチャック》



太陽が昇り
俺のウッドハウスに
陽射しが射し込む
眠っていた俺はそれで目を覚ました

話し声が聞こえる
低いハスキーボイスと…
またまた低い…男の声

《……??》

顔を上げると
出入り口で…

ーあ…キャシー♪
目を覚ましたと聞いて
来てしまったよー
【…おはようカスティエル】

《…ディーンに…大佐》

我等のリーダーと
あの窮地から救いだした
国の番犬のヘンリー大佐が居た

大佐は真っ直ぐに俺へと近寄り
ー…キャシー
無精髭がないと
とても幼く可愛いな*
目が覚めて
きみの瞳を見れて嬉しいよー
《…どうも》
頬を撫でられ熱烈なキスを受け

勢いよく抱きつかれ
ー…キャシー♪ー
ぎゆッ…
《!》
ギシッて骨がいった

そして折れた足には激痛…

大佐と話している間
ディーンはずっと眺めていた
いつもの様に
光が無いヘーゼルグリーンの瞳で
腕を組み立ちながら

大佐の無線機が鳴る
どうやら呼び戻しの連絡らしい

俺は"またね"と言うヘンリー大佐に
《治ったら
お礼をさせてはくれないか?
考えておいてくれ…くく》
握手をし言葉を投げた


大佐が去ると
…最も逢いたかったディーンが
近づいて
目の前に立ったから
《…どう?
痛むのか?背中は》
俺は言葉を投げた

【痛くねぇよ
おまえは?】

《愚問だ
痛くない…》

痛くないと言った俺の
《!!!!》
ディーンは折れた足を叩く
激痛に前屈みになる俺に

【おまえは!嘘をつくな!!
怪我をしたなら
怪我をしたと必ず言え!!
命令だキャス!!わかったか!?】
《…い…痛い
…わかったよリーダーさん》

【……嘘をつくな!絶対だ!】
ぎゆッ…
《ああ〜…つかないよ
ごめん…ディーン》

ディーンは優しく俺を抱き締める
なんとなく肩が震えていた気がする
彼はとても俺を
心配していたと言葉の代わり伝わった

やっと俺は安堵した
無事なディーンの姿を見て

《…ディーン
無理はいけない…約束しろ
せめて二日は休め》
【俺は平気だ】

《駄目だよディーン
俺も嘘はつかないと約束する
きみは…今日から二日は
俺の部屋で一緒に休むんだ》
【…………わかった】

《大佐が乗っていて助かった
彼が居なかったら
感染者に襲われた人間と誤解のまま
撃たれていたかな俺達は
ディーンは…luckyだ
とても運がいい》
【…違うカスティエル
運がいいのは…おまえだよ
おまえが折れた足で動かなければ
俺達は救われていない】

《‥‥そうなのか?》
【そうだ】

《無茶はする
だってきみは
皆の希望の光で
きみは必要だから》
【キャス…】

《??》
【俺にはおまえが必要だ
忘れるな…】

《…ああ》
ぎゆッ…
【……】

《今日から二日
きみは俺だけか独占できるのだな》
【‥馬鹿め
へらへらすんな
髭を剃らせやがって】

《‥くく♪
二日は心配いらない
きみは恐い存在だから
誰も近づけない》
【…おまえ
あの大佐とはどんな関係だ?】

《‥‥まだ何も
彼は俺の信者を希望している人間だ》
【………】

《リーダーの許可が必要だと言ったから
叶わないだろうけどな…》
【おまえの男は俺だけだカスティエル】

《わかっている
足の痛みがある程度ひいたら
抱いてくれよディーン…はは》
【そうだな
…抱かせてくれよhero】

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