†SPECIAL story†

□†【6】†
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《…ああ〜…今日は
すまないが
…君たちと
1つになる世界を
共有する事が出来ない》

ー…どうしました?カスティエルさまー
ー…私達は…大丈夫ですがー
ー…顔色が…悪いわー
ー…風邪かしら?ー

《……そうらしい
俺はいま
風邪をひいている
すまないが…治ったら
声をかけるよ…》

ドラッグを飲みたいと
酒が飲みたいと
sexがしたいという
人間になった俺の
人間独特の欲求が失せるほど
強烈な風邪をひいた

彼女達が去った後
俺は…ベットに横たわる

《……ッ……頭が熱い
気持ち悪い…寒い》

いまだに慣れない
この感覚

《………………》

そして
何故だ?
風邪をひくと


孤独に蝕まれるのだ?


《……ディーン》


そして…最も大事な人間が
とても恋しくなるのだ?



だが…
身体がフラフラし
まともに歩く事は出来ず

彼は今
隔離区域に入り込み
いつもの様に仲間と
コルトを探し回っていて
どちらにしても
逢うことは儘ならぬ

《……チャッ‥ク
はぁはぁ…》

こんな時
元預言者が
ドラッグとは違う
魔法の薬をくれる
人間が作り出した産物の製薬と言うドラッグ

だが…
今日はその薬を貰う為に
彼の場所まで
行くことも儘ならぬ

《はぁはぁ
くそ…最悪な気分だ》

天使だった頃は
風邪など無縁だった
なったとしても
簡単に治っただろうな…

人間になりわかった事は
とてもとても
複雑だと言う事だけ

脳も身体も
何もかもが…複雑だと

《…はぁはぁ》

感情や感覚が
とても複雑だと
排泄する感覚さえ
中々慣れる事が出来なかったくらいだ

熱に魘されているが
ベットから身体を動かせず
頭を冷やしたいし
喉がカラカラで
水分も摂取したい

どれもこれも
身体が動かず
思い通りにいかない

《…わ…私は
こんな…はぁはぁ
事では…死ねない…はぁはぁ》

人間とは…
なんて弱い

人間とは
なんて脆い生き物だと

俺は心を打ちのめされるのだ

ディーンは…今
無事に任務をこなしているか
今日は…同行しなかった
体調がおかしいと
昨日から思っていたからだ

風邪をひくのだろうと
人間になり生きて
知った感覚で…断ったら
案の定この様だ

銃声音が…
聞こえてくる

本来は聴こえない筈の…銃声

研ぎ澄まされる感覚が
微量に拾うのか?
天使の力が

《はぁはぁ…》

断食をしていたからか
いつもより
体力も無いだろう
きちんと…人間の産物を
食しておけばよかった

ディーンが昔に言っていた
食べて寝るの
食べるはとても
人間の身体には重要だ

きみは教えていた
俺にたくさんの…事を


寒い…熱い…寒い…寒い

身体を横に向けて
身体を小さく小さく縮めて
《…はぁはぁ》
熱さと寒さで身体を犯されながら
俺はいつのまにか
意識を飛ばしていた

夢を見た

夢を見るようになった

と…いうか
俺は眠る様になった







夢は…

懐かしい人物がソコには居た

鮮明に
それはそれは鮮明に
懐かしい人物…

俺は…彼とディーンの間に立っていた

この空間は私の宝だった

天国よりも
仲間の天使といる時よりも

大事な大事な……



許してほしい

きみの声を拾えなかった


いや…拾わなかったのか

わからない

わからない

俺には…ディーンが
それ程に大事な存在だった
彼の傍に居てやりたかった

彼の言葉が俺の足を止めていた

《…サ…ム》






ふわふわした意識の中
徐々に何かに
引き戻されていく感覚が…

これは俺が
夢から覚めると言う事だ


髪を誰かが撫でている
気持ちがいい
あたたかく大きな掌だ

少し…ゴツゴツした指は
生きてきた道をあらわす指

朦朧とする意識の中で
俺はその掌を撫でる
すると…その掌が
俺の掌に絡まるのだ

《…はぁはぁ…ッ…》

霞む視界の中で
俺は捉えた
同じベットに横になり
優しく見つめる
宝石の様なグリーンの瞳を

【……キャス】

人間になり
一番不思議な事

そして一番
嫌いな嫌いな…感覚だ

とても
不安で苦しく…悲しく

それは…

《ディーン…ッ…
強く…抱き締めてくれ…》

頬に流れる熱い…涙と言うものだ
【ああ…】

《ディーン…止めてくれ
はぁはぁ…涙を
私の…涙を…止めてくれ…
怖い…とても…怖いのだ》

だが
彼は止めるのだ
俺の涙さえ止めるのだ

それは彼が放つ言葉の呪文

"i need you cas"

《‥はぁはぁ…はぁ》

涙が止まると
ディーンはたくさんキスをする
たくさんたくさん…

【…ゆっくり眠るんだ
ずっと…傍に居てやる】
《‥‥ディーン》

俺は兄弟の守護者であった

俺は兄を…選んだ

そして俺は更に選んだ

彼の為に生きると選んだ

俺の選択

彼が私に教えた自由意思が産み出した

《今日は…
一緒に過ごす日では無いだろ?》
【俺は特に決めてない
おまえに合わせてるだけだ
昨日からおかしかったろ…
部屋に来てみりゃ
この様だ…】

《…ああ〜…
気づいて…いたのだな》

【目を見りゃわかる】

《そうか…
今の私は…きみの感情も読めないし
目を見ても…わからない》

【黙って寝ろよキャス…】

《…ああ》

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