†SPECIAL story†

□†【3】†
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はぁはぁ…はぁはぁ


はぁはぁ…


はぁ



真っ暗な暗闇を
ひたすら走る

追われているわけではない

多分
俺はただ
出口が前にあるのだと

ひたすら思ってる

この真っ暗な
地獄の様な暗闇を抜ければ
天国へ戻れると


眩しい…

目が眩む

あれは…出口だ
私の…

ー………ー

出口だ

《‥天国?》

目の前に
俺の大好きだった
いや…今も大好きな男が
俺の顔を
眉間にシワを作り
美しい顔で覗きこんでいた

ああ〜…天国か
いつもと何か違う
この夢を見た後
目を覚ますと老人がいる
今日は老人じゃなく

【クソキャス!!
天国じゃねぇ】
ぎゆッ…
《…ディーン?》

ディーンだ…

《…ッ!…痛ッ!…ディーン》
【あ…わりぃ】

強烈な抱き締めを受けた後
素っ気ない態度で
【服を着ろ】
俺は服を投げられた

何があった?
腹が…また縫われている

そうだ
《ディーン!無事か!?…ッ!》

【…ばか野郎
まだ出来立てほやほやの傷だ
勢いよく起き上がる奴がいるか】

俺はピンチのリーダーを救った…
《………》
筈なんだが
なぜディーンが立っていて
私が血だらけなんだ?

【痛むだろ?
まだ寝てろよ
ドラッグはとうぶん
傷が治るまで駄目だぞキャス】

《……ん》

また俺が…きみに救われたな

【大丈夫…だよな?】

《心配してるのか?》

【当たり前だ
戦闘力が減るだろ
おまえもこの組織の大事な兵士だ】

《…………うん
そうだね…
我等のリーダーの為に
身体を張った兵士に
もっと労りの言葉は無いのか?》

【ない!
俺はおまえに一度も
危険を犯して守れなんざ
頼んだ覚えはねぇからな!】

《………はいはい》

そうだ
確かに頼まれた事は一度も無い
俺が…人間になった後は

【‥暫く寝たきりだキャス
傷口が開く
チャックを世話に寄越す
静かにして治せ】

《…チャック?
女がいい…ディーン》

【‥‥‥何か言ったか?】

《何も》
傷を見ると昔を思い出す

こんな傷など一瞬で治せてた
今じゃ…この感じだと
三週間かな

「キャス…動いたら駄目だ
は…恥ずかしいだろうけど
身体を拭かせてよ」
《‥‥》
元予言者に身体を拭かれる屈辱を
味わっている
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