†ANGEL story U†

□†【3】†
1ページ/2ページ



【…んな直ぐにバレる嘘をつくな
男なら素直に謝れ】

[……]

【え?
何でおまえの嘘を見抜いたか?
そりゃ俺が嘘のプロだからだ】

[………]

【ああ…じゃあまたな】

[電話の相手はベン?]

【…ああ】

[父親の顔をしてた…]

【…そ?】

[ああ…貴重な顔だよ
僕にとっても
兄貴にとっても]

【……】
たまにベンから電話が来る
俺の子供じゃないが
リサが言うには
俺を尊敬してくれていると

そりゃ…可愛いだろ?
大事なリサの子供だ

[……]

何よりも
子供の面倒をみるのは
手慣れている方だ
子供の時から子供の面倒を
見ていたんだからな

[帰りたくなったか?
逢いたいんじゃないか?
兄貴にリサどンは]

【時間が出来たらな…】

[時間は強引にも
作らないと出来ないぜ兄貴]

【…確かにな】

[それとも
逢うのは怖いか?]

【…なんで?】

[なんとなく]

怖いか?…か
俺がベンに逢うことに
恐怖を感じているとしたら

【……】

普通の世界から閉じ込める俺を…
見る二人の目だ

世界が違うと思い知らされる
俺の見る世界と
リサやベンが見る世界

もし見る世界が選べるならば
良い未来が見える世界を選ばせたい

[兄貴?]

【…ん?】

[入るの?入らないの?
検死結果聞きに行くけど僕は]

【愚問だサム】

[じゃあ早くしろよ
犯人は次の実行を
待っちゃくれないんだからな]

【…へーへー】
こんな未来に二人を
付き合わせる程
俺に価値は無いだろう


ホテルで資料を眺める
親父の手帳と
照らし合わせながら

[今回の事件は
僕達の事件じゃなさそうだな…]

【ただのサイコ野郎かな…】

[だな…
皮膚を剥がしてバラバラにし
心臓を抜き取るか]

【…何の為にするんだ?】

[知らない
…次の事件を探そう
それまでは仕事は休みだ]

【…………】

[帰んなよ…
近いじゃんリサとベンの家に
久しぶりだろ?逢うの
タイムリミットは短いぞ]

【ああ…そうだな
ちょっと寄りに行くかな】

ふと…こうやって
まるで作られた様に
空いた時間が出きる

この機会は…
そうたくさん
あるわけじゃねぇから
グダグダ考えるのはな

[いってらっしゃい
帰りに珈琲買って帰って…]

【…へーへー♪】

インパラに乗り込もうとすると
少し離れた場所に
またまた
久しぶりの奴があらわれた

《‥‥やぁ》

【キャス?】

天使の内戦で
忙しい天使のカスティエルだった

《‥出掛けるのか?》

【どうした?
サムに呼ばれてたのか?
まぁ…余りに綺麗に
皮膚を剥がされてた遺体だったからな
犯人は憶測だが
俺達ハンターの仕事じゃなく
地上の社会秩序を維持する者の
仕事だと判断した…】

《???》

【ああ〜…
犯人はサイコ野郎のクソ人間で
犬のお巡りさんに
任せる事になったんだよ】

《…事件を調査していたのか》

【?…呼ばれたわけじゃ
なかったのか?】

《‥時間が出来たから
地上に降りたら
きみの愛車が目の前にあった
きみに…逢いに来た》

【…ああ】

俺の脳には今
リサとベンと
俺に逢いに来た
目の前に立つトレンチコートを着た
天使のキャスがいる

勿論今
俺が考えてる事は
どちらを優先するかだ

リサとベン
疲れた顔をした天使

《出掛けるのであれば
私は上へ戻る…》

俺が出した答えは
結構あっさり出た

【おい…待てよ】

《?》

【ちょっと
飛んでくれるか?俺と】

《…ああ》

俺と天使のキャスは
リサとベンが住む家の前へ
家の中で二人は
笑顔で昼飯の準備をしていた

【……さて
何処かに行くか?キャス】

《…寄らなくていいのか?
きみの用事は
彼女達だったのでは?》

俺と離れている二人は
笑顔で溢れていた
想像しては…いたが
リサとベンは心配ない

【疲れた顔だなキャス…】

《………》

【…おまえと今日は過ごすと決めた】

《…いいのか?》

【嫌だったら断る
おまえの方が中々逢えないからな】

《…ディーン》

【昼間だが
飲むか?‥って
おまえはソーソー飲まねぇか】

《ああ…行きたい》

【………おう】
《……》

俺と天使のキャスは
真っ昼間から開いている飲み屋へ

まぁ…結局
途中でキャスの好きな
公園を見つけちまって
そこに寄ったんだが

そこには
触れあいと題した
小さな生き物がたまたまいて
子供達が兔を抱いている中に

《………》

トレンチコートを着た黒いスーツ姿の
俺より歳上の男が混ざって
兔を抱いては

《…なんて
繊細な生き物だ
壊してしまわないだろうか私が》

不安そうだが優しく
【‥くく】
撫でながら触る天使に
なんだか笑ってしまった

《…やわらかい
とても…弱々しい》

【弱い生き物だキャス…
優しくに触れ
ビビらせるだけでも
跳び跳ねて背骨が折れるからな】

《!?……どうしたらいい?
下ろしても…平気か?》

【ああ…ゆっくりな】

子供が天使のキャスに言葉を投げる
仕事は?と
天使のキャスは
《…今日は終えてきたのだ》
クソ真面目に答えてる
兔を抱いたまま

神の神聖な戦士の天使が
兔よりも一番弱々しく感じんのは
何でだろうな…

【キャス…】

《???》

【そろそろ飲みに行くぞ…】

《…あ…ああ》
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ