キセキの世代、それは僕の全て

□みっつめ
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新「銀雪は、そうだな…跡部の隣に座ってくれ。彼は生徒会長だから、色々教えてもらうといい。跡部、手を上げてくれ」

「…はい」

新「銀雪、あの手を上げているのが跡部だ。席についてくれ」

『はい。わかりました、先生』

そう言って真っ直ぐ前を見て席まで向かう楓李。そして席に着くと隣の跡部と呼ばれた生徒へと挨拶をした。

『跡部くん…でしたよね。1ヶ月の間ですが…よろしくお願いします。』

跡「…はっ、忠告だ、帝光からの交換留学生。他校生で先生に頼まれたから仕方ないが…必要最低限以外、俺様に近づくな。惚れるなんて以ての外だ。わかったな、アーン?」

『……』
((…馬鹿、なのかな?こいつは。確かに見目はいいけど…女子が全員自分のことを好きになるとでも…?))

ただ、挨拶をしただけ。隣になったから、社交辞令としてよろしくと言っただけ。なのに、こうも自信満々に敵対心を剥き出しにしてくる跡部に楓李は内心毒を吐きまくっていた。

跡「おい、聞いているのか?…まさか、もう俺様に惚れたのか?チッ、これだから雌猫は…」

薄い微笑を貼り付けたまま、反応を見せない楓李に何をどう解釈したのか好き勝手言う跡部。

彼は容姿端麗、才色兼備、更には家柄もいいという完璧な人間だった。そんな彼に一目惚れする人間は少なくない。事実、彼は出会った女子の全てに恋され、媚を売られてきた。

そのため彼は楓李をそんなその他大勢の女子ー彼は雌猫と呼ぶーと同じだと決めつけてしまったのだ。


跡「おい、交換留学生。俺様はお前と付き合う気h『うるさいですね、少し黙ってください』なっ…」

いつもと同じく、付き合う気はないと牽制の言葉を言うはずだった。だってどうせこの女子も自分に見惚れている。自分に媚を売ってくる、その筈だった。

以前から交流のあった帝光中学からの交換留学生。それが生徒会長である自分のクラスに来ることは想像がついていた。自分が面倒を見ることになることも、予想通り。

だが、その交換留学生からの己に対する反応は予想とは、全く違った。交換留学生の整った顔立ちに浮かべるのは微笑。

だが、その瞳は、銀色の吸い込まれそうな瞳は全く笑ってなどいない。むしろ、己を軽蔑するような冷たい光が宿っている。
それは、まるで己に微塵も興味がないようなー…

新「…べ、跡部?」

思考の海に溺れかけていた跡部は新の声でハッと前を見た。いつの間にか楓李は席についており不思議そうに新と跡部の顔を見比べている。

跡「…すみません。少し考え事を…」

新「そうか?跡部は生徒会長とテニス部部長を兼任してるからな、体調が悪いんだったら保健室に行けよ?」

跡「はい。」

楓李はそんな跡部を周りにバレないようにひっそりと嘲笑っていた。

『(この世の全ての女子が、お前に惚れるなんてことあるはずないでしょ?僕もさっちゃんも、あんたになんか興味ないの。きっと帝光の女子もあんたなんかより僕たちキセキの方が好き、だよ?)』




氷の帝王は、銀の少女の価値を見誤る。

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