読処

□鈍感すぎ!
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――好き

その気持ちに気付いたのはいつの事か…
そんなに前の事ではなく極々最近の事だった。
でも、その気持ちは多分ずっと前からあって、気付かなかっただけ。
気付いてなくて良かったと思うし、気付いていたら良かったとも思う。
もっと早く気付いていたなら勘違いされることはなかったけど、今のようにセクハラを許してもらえる事もなかった。
どっちが良かったのかは謎。

ただ、最近勘違いが酷くなっていている気がする。


「だから何でそうなるんだよ!!」
喧騒の中、挙がる自分の叫び。
「え、だって…」
「そりゃねぇぜ、姫さん」
困惑しているルーシィに、その隣には変態が座っている。その手がルーシィの頭を軽くはたいているのは気に食わない。
が、今は我慢
「ルーシィは何でそう思ったの」
完全に楽しみながら相棒の猫がルーシィに訪ねる。その近くではミラまでもが裏の見えない笑みを浮かべている。
「だって、仲良いみたいだし…」
「良くねぇよ!!」」
ついハモってしまたこえに、ホラとルーシィが声を挙げる。それをすぐに否定する。
「でも、先だってあたしがグレイと出掛けるの止めてたじゃない」
それだ
何でこんなことになっていたのか自分でも忘れ掛けていたのだが、何とかルーシィが思い出させてくれた。
事の始まりは、グレイがルーシィを散歩に誘った事。隣に行ったナツは無視し、ルーシィだけを誘ったグレイの思惑など簡単に分かって、それを阻止するために二人の会話に口を挟んだのだ。ルーシィが行かないと言い出したところまでは良かったのだが…。
その後の言葉が地雷だった。
『二人で行ってくると良いよ』
何処をどう取りそうなったのか。
あまりの事に聞き返したそれが間違いだった。聞かなければこんな事にはならなかった。だが、もし聞いていなければ否定する事も出来なかった。
『好きなんでしょう。グレイのことが』
小声で言われた言葉には呆れよりも落胆や嫌悪が大きく現れた。
どうして、ルーシィを取り合っていたらそう言う事になったのか?
謎である。普段、バカだなんだと行ってくれるがルーシィの方が100倍バカである。
もう何を言えば良いのか分からない
「グレイがあたしと行くのが嫌だったでしょう」
一応その通りなので頷くが、やっぱりという言葉には全力で否定した。
「じゃあ、何で」
「グレイじゃなくてルーシィが良いのよ、ナツは」
ミラが俺の代わりに言ってくれるものの
「そんなわけないですよ」
ルーシィには伝わらない。
「ナツがあたしに何て有り得ませんよ。ねぇ」
そこで同意を求められても答える事は出来ない。だが、ここで否定したら今まで許されてきたスキンシップ(セクハラ)が出来なくなる。それは嫌だ。
今ここでキモチを知られてもルーシィが振り向いてくれないのは分かりきているのだ。その状況で触れなくなるのは不味い。
なら、どうするべきなのか…。
迷っているとルーシィが立ち上がった。
「ルーシィ?」
「あたし帰るわ」
突然の事に驚いている内にルーシィはもう入口の辺りまで言っており、
振り返ったルーシィは少し悲しげだった。

「期待しちゃたじゃない。バカナツ」
小さな小さなその言葉。
一体どんや意味が籠っているのか。
悲しげなその顔は何を秘めての事か…。

想像して頬が赤く染まった


今日はハッピーを連れずに、ルーシィの家へ行こう。
そしてそこで本当の事を言おう。
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