black and white 本編
□03.任務の前に
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「おはよう、ジェリーさん!」
窓から差し込む暖かい日差しを横目に、ゆめはアレンを連れて食堂へと来ていた。
「おはよう、ゆめちゃん!今日も可愛いわね」
「ふふ、ジェリーさんもね」
「やだ、煽てても料理しか出ないわよン?」
料理長であるジェリーと、いつも通りの会話を交わす。
ただ、普段と違うことと言えば・・・
「アラん!?新入りさん?んまー、これはまた可愛い子が入ったわねー!」
隣にアレンがいるということ。
「初めまして。僕、アレン・ウォーカーって言います」
「アレンくんね?何食べる?何でも作っちゃうわよ、アタシ!!」
アレンのことを早くも気に入ったらしいジェリーが、語尾にハートを幾つもつける勢いで注文を受ける体制を取る。
「じゃあ・・・グラタンとポテトとドライカレーとマーボー豆腐とビーフシチューとミートパイとカルパッチョとナシゴレンとチキンにポテトサラダとスコーンとクッパにトムヤンクンとライス。あとデザートにマンゴープリンとみたらし団子20本で」
「あんたそんなに食べんの・・・?」
驚きを顕にするジェリーに、全部量多めで!と笑顔で付け加えるアレン。
(すごい!本当に原作通りだ。アレンてば食べたい物、気が変わったりしないのかなー・・・)
「・・・で、ゆめちゃんはいつものでいいの?」
「うん。お願いね、ジェリーさん」
「はいはーい。ちょっと待ってて頂戴ね!」
ジェリーさんが注文されたものを作りに厨房へと姿を消した丁度その時、
「何だとコラァ!!!」
という怒鳴り声が食堂内に響く。
驚いたアレンとゆめがそちらを振り返ると、探索部隊(ファインダー)のバズと神田が言い争っているのが見えた。
バズが神田に殴りかかろうとするが、それを交わした神田は逆にバズの胸倉を掴む。
「サポートしてやってる≠セ?違ェだろ。サポートしかできねェんだろ。お前らはイノセンスに選ばれなかったハズレ者だ」
「げふッ」
「死ぬのがイヤなら出てけよ。お前一人分の命くらい、いくらでも代わりはいる」
(おーおー・・・やってんなー・・・)
いつもの如くのんびりとした思考回路でその様子を眺めていたゆめの前を、誰かがサッと通り過ぎた。
「ア、アレンくん!」
その誰か≠ニは言わずもがなアレンである。
ゆめは慌ててアレンの後を追った。