black and white 本編


□06.子守唄を聞かせて
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ザザッ

不意にアレンの後ろにいたララとグゾルが、そんな音と共に砂の中に飲み込まれていった。
それはまるで、蟻地獄のように。

「ララ!グゾル!」

しまった、と思ったときにはもう遅い。

「イノセンスもーらいっ!!」

そう言って笑うアクマは、片方の手でララとグゾルをアクマ槍で貫いている。
そしてもう片方の手にはララの生命を担っていたであろうイノセンスが握られていた。

「これがイノセンスかぁ」

ニタニタと下卑な笑みを浮かべるアクマに、エクソシスト3人の顔色が変わる。

「・・・返せよ、そのイノセンス」

肌にピリピリと痛みを感じるほどの禍々しい殺気の渦と、その声にハッとする。

(・・・怒ってる)

アレンの左腕がボコボコと変化を遂げる。

「ウォ・・・ウォーカー殿の対アクマ武器が・・・」

「造り変えるつもりだ。寄生型の適合者は感情で武器を操る。あいつの怒りにイノセンスが反応してやがんだ」

信じられないというような声を出したトマに、神田がそう答えた。

アレンはそのままアクマに向かってゆく。

「バカ!まだ武器の造形が出来ていないのに・・・」

ドンッ

アレンの左腕から攻撃が放たれる。
が、砂と化しているアクマには効果がない。

「そんなんで砂になってる私は倒せないよ〜」

アクマはそう言ってアレンに襲いかかった。

「ケケケ 捕まえた!何回刺したら死ぬかな〜?」

ドスドスと捕まえたアレンを突き刺すが、アレンの殺気は消えぬままだ。

ガキィィィン

アレンは突然アクマの中から飛び出し、アクマの槍を砕いた。
そしてイノセンスを剣に変えて、アクマを切り裂く。

「あ!砂の皮膚が!!」
「これで生身だな。写し取る時間はやらない・・・ブチ抜いてやる」
「・・・まだお前の腕が残ってるもんね!」

砂の皮膚を切り裂かれて生身になったアクマは、今度は先程写したアレンの姿になり、左腕で攻撃する。

「グゾルはララを愛してたんだ・・・許さない!!」

だが、今のアレンには効かない。

「く、くそっ。何でだ!同じ奴の手なのに・・・何で負けそうなんだよぉ・・・!!」

カハッ!

その刹那、アレンが突如吐血してイノセンスの開放を解除した。

(急激なイノセンスの変化によるリバウンド・・・!?)

そう考えるより前に、ゆめはアレンの元に駆け寄った。
隣を見れば、神田も続いていた。
ゆめと同じく体が勝手に動いたのだろう。

「もらった!」

アレンが吐血した隙にアクマが攻撃しようとしたが、それを間一髪で神田が受け止める。

「この根性無しが!土壇場でへばってんじゃねぇよ!あいつらを守るとかほざいたのはテメェだろ!!」

神田がアクマの相手をしている間に、ゆめは手首に巻いていたリボンで髪をひとつに括った。

「お前みたいな甘いやり方は大嫌いだが、口にしたことを守らない奴はもっと嫌いだ!」
「はは・・・どっちにしろ嫌いなんじゃないですか」

キュッと音を立ててリボンを結び終える。

「別にへばってなんかいませんよ。・・・ちょっと休憩してただけですよ」
「・・・いちいちムカつく奴だ」

それからそんな会話を交わす2人を見て、こんなときに不謹慎だと思いつつも自然と笑みを零した。

(よし、わたしも頑張らないと・・・)

ガッと神田がアクマの手を切り落とす。
それと同時にアレンがイノセンスを再発動させ、ゆめは左手でピストルの形を作った。
そして、3人合わせて力の限り叫んだ。

「「「消し飛べ!!」」」
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