black and white 本編


□03.任務の前に
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出発の準備を終えたゆめ達は、教団内下層部に位置する地下水路へと来ていた。

「ちょっと大きいね」

黒のロングコートに身を包んだアレンに、コムイが言う。

「これ、着なきゃいけないんですか?」
「エクソシストの証みたいなものでね。戦闘用に造ってあるからかなり丈夫だよ」

本来エクソシストは、自分の身体に合った団服を与えられる。
だが、アレンの場合昨日の今日でまだ団服が仕上がっていないらしく、ストックを着ているようだ。

「似合ってるよ、アレンくん」

ゆめがそう言うと、アレンは「そうですか?」と照れ笑いを浮かべる。

「おい、さっさと行くぞ!」

そんな2人に痺れを切らしたように、神田がそう言って先に舟に乗り込む。
それに倣(ナラ)ってゆめとアレンも舟に乗り込んだ。

「ティムキャンピー!どこ行ってたんだお前」

アレンの驚いた声に振り向くと、彼の周りを飛び回る黄色いゴーレムが目に入った。

(おお・・・あれが例のティムキャンピー!)

ティムキャンピーを目にして、爛々と目を輝かせるゆめ。

「ティムキャンピーには映像記録があってね、キミの過去を少し見させてもらったよ」

どうやらそのせいで徹夜になったために、先程熟睡してしまったようだ。

そんなコムイの言葉にアレンの表情が曇る。
あまり良い過去ではなかったからだろうか。

コムイはそんな彼の心を知ってか知らずか、ゆっくりと動き出した舟に向かってこう言った。

「行ってらっしゃい」

その言葉に少し驚いた表情を見せた後、はっきりとこう返した。

「行ってきます!」

この言葉がエクソシストにとってどんなに大切な言葉かは、ここにいる皆がよく知っている。
それが新入りであるアレンに伝わっているかどうかは分からない。
けれど・・・

(いつかアレンくんも、この言葉を大切に想う時が来るはず)

送り出してくれたコムイに手を振りながら、ゆめは心の中でそう呟いた。


To be continue ...
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