black and white 本編
□03.任務の前に
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「ぐ―――――――――――」
急いで朝食を食べ終え、いざ司令室に来てみると、当のコムイは散らかった机の上に突っ伏して絶賛爆睡中。
「室長!コムイ室長!」
リーバーが呼ぼうが揺すろうが起きる気配は微塵もない。
それを見たリーバーは意を決したようにコムイに近付いて、耳元でそっと呟く。
「リナリーが結婚しちゃいますよ〜・・・」
途端、コムイは泣き喚きながら飛び起きる。
「リィーナリーィィ!!!」
「悪いな、このネタでしか起きねェんだこの人・・・」
アレンと神田は無言でそれを見つめ、リナリーは申し訳なさそうに目を逸らす。
ゆめは何度か経験しているが、何度見ても釘付けになってしまう名シーンだ。
「あの・・・コムイさん?任務なんじゃ・・・」
ドリルやら何やらを持ち出しているコムイに、肝心なことを伝える。
「ああ、そうだったね」
コムイはそう言うと先ほどとは打って変わって真剣な表情を見せる。
「今回の任務は、3人仲良く行ってもらうよ」
ゆめは辺りを見回す。
資料が配られているのは、アレンと神田、そしてゆめ。
当然の如くこの3人で行けということだろう。
(わたしだけは別任務だと思ってたんだけど・・・)
そんなことを考えている間にも、アレンと神田は心底嫌そうな顔をしている。
「え?何なに、もう仲悪くなったの?キミら。でも、我が儘は聞かないよ」
そう言ってから地図を開く。
「南イタリアで発見されたイノセンスがアクマに奪われるかもしれない。早急に敵を破壊し、イノセンスを保護してくれ」
コムイの説明を聞きながら、資料を見る。
そこに記されたマテール≠フ文字に、思わず「げ」と声を漏らしたが、誰にも聞こえていなかったらしくほっとする。
しかし、こうも都合良く原作通りに事が進むとは正直驚きである。
「今回はアレンくんの初任務だし、神田くんとゆめちゃんでしっかりフォローしてあげてね」
一通り説明を終えた後、コムイがそう言って締め括った。
「・・・特にゆめちゃんには色々と頑張ってもらうことになりそうだね」
あからさまにお互いを毛嫌いしている2人を見ながら、コムイがそう言って苦笑する。
「あ、あはは・・・えーと、頑張ります・・・」
口ではそう言ったものの、あんな不穏な空気の中で任務を遂行するというのは気が引ける。
はっきり言ってしまうと、嫌だ。
(でもでも、折角のアレンくんと初任務だし)
自分も着いて行って名シーンが見られるというだけ良しということにしよう、と心の中で割り切る。
それから各自、準備のために司令室を後にした。