black and white 本編


□03.任務の前に
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「ストップ。関係ないとこ悪いですけど、ああいう言い方はないと思いますよ」

仲裁に入ったアレンはそう言って、神田の腕を掴んだ。

「・・・離せよモヤシ」
「(モヤ・・・ッ!?)アレンです」

じとーっと睨み合う2人を前にして、ゆめは

(初の生モヤシ呼び・・・!)

目の前で繰り広げられる名シーンの1つに1人感動する。

「1ヶ月で殉職(クタバラ)なかったら覚えてやるよ。ここじゃパタパタ死んでいくヤツが多いからな、こいつらみたいに」

馬鹿にしたように鼻で笑ってから神田がそう吐き捨てる。

「だから、そういう言い方はないでしょ」
「・・・早死するぜ、お前・・・。嫌いなタイプだ」
「そりゃどうも」

お互いジリジリと睨み合う2人は、きっとバズ達のことを忘れているだろう。
そこで、初めてゆめが口を開いた。

「悪いのは神田だけじゃない、バズさん達もだよ。少しでも仲間を追悼する気持ちがあるなら、もっと相応しい場所があるはずでしょ」

「「「!」」」

ゆめのその言葉に、その場に居た全員がはっとした表情をして此方を見やる。

「・・・ゆめさんの言う通りですね、すみませんでした」

暫しの沈黙の後、バズ達探索部隊がぺこりと頭を下げた。
アレンも神田の腕を離す。

(分かればいいの、分かれば)

それを見て、 ゆめは思わずふっと笑みを漏らした。

「あ、いたいた!ゆめ、神田、アレン!」

やっと険悪な雰囲気が和んだと思った時、大量の本を抱えたリーバーがとゆめらに声を掛けた。隣にはリナリーもいる。

「10分でメシ食って司令室に来てくれ、任務だ」

(え、わたしも!?)

戸惑いながらもこくこくと頷くと、リーバー達は忙しそうに足早で食堂を出て行った。

「アレンくーん!ゆめちゃーん!料理冷めちゃうわよーン!」

厨房からジェリーの声が聞こえたと共に、ぎゅるる・・・とお腹の鳴る音がした。
一緒自分かと思って焦ったが、どうやらアレンだったようで照れ笑いを浮かべている。

「とりあえず、先に食べちゃおうよ」
「そうですね、行きましょう!」

ゆめがそう呼びかけると、アレンは嬉しそうに頷いた。
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