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□誰にでもスキだらけ 后視点
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うーん、と唸り声をあげてみるけれど、答えは一向に浮かんできそうにない。

解答欄は依然として空欄のままだ

今日の午前中は晴明との修行で(相変わらずドS全開で死にそうになった)

午後は華との勉強。

晴明と言は闇皇宮の仕事でいないので、部屋にいるのは華と自分しかいない。





・・・華といえば。

最近、華はどこか挙動不審だ。

ちらり、と隣を盗み見ると・・・まただ。

頬杖をついて、なんだか悩ましげな顔をしている。

にしても、

(相変わらず、スゲー美人だよなぁ)

今はオモテの地味な格好だが、それでもどこか人を惹きつける様な雰囲気がある。

(あ、眉間に皺を寄せた。ムッとしてる?いや、今度は頭を抱え出した。)






やっぱりどこかおかしい。

何かあったのかと、華の幼馴染である破に聞いてみてもいつもの優しい笑みでやんわりとかわされてしまうし。
それに、

(誰の事、考えているんだろう。とか)




・・・ん?なんだったんだ、今のは。

まあいいか。と思ったのと同時に

「・・・我が皇子」
ハァ、短い溜息をついた。

(ヤバ、もしかして見てたのバレてた!?)

そうだ、今は勉強の時間だという事をすっかり失念していた。

華も暇では無いんだし・・・と罪悪感が沸いてくる。

「ゴメン、華」

「・・・え?」


俺が謝ったのが予想外だったのか、驚いた様な声がする。


「俺、物覚えが悪くて」

「・・・・・・」


気まずい沈黙。

何か喋ってくれないかな、と気まずさをごまかす様に空欄の問題を見る。

「別に。これも僕の仕事だし、我が皇子の物覚えの悪さは今に始まったことじゃないでしょ」

そっけない返事。

だけど、何か・・・声が沈んでいて・・・
落ち込んでる?

もしかして、ここ最近おかしな理由とも関係しているのかもしれない。

う゛、と言葉につまりながらも「じゃあ何で、最近元気が無いんだよ」と言葉を続ける。

「大学の研究で昨日も徹夜だったから、少し寝不足なだけだよ。ほら、そこスペルミス」

「えっ、どこ?・・・いや、だってさ・・・」

何て言えばいいのか。

口の中で言葉掻きまわすが、いい言葉は出てこない。

というか、華はしっかりしているんだし俺がわざわざ言う必要はないんじゃないのか。


でも。

「・・・ここだよ」

「あ、ここか・・・なぁ、華」

しっかりしているからこそ、心配になるというか・・・。

「・・・何、我が皇子」

「何かあったら言えよ?そりゃあ華は俺よりもしっかりしてるけどさ。たまには頼れって」

ポンポン、といつも華が撫でてくれる様に頭を撫でる。

落ち着くんだよなぁ、これ。っていうか華の髪の毛って柔らかい、堅そうなのに。

華本人みたいだ、とかいったら怒られそう。

あともう少し、このふわふわを楽しみたいという邪念に駆られながらも、問題を解かなければならないので手を離す。

よし、やるぞ。と気合いを入れ直してから問題を解いていると、「我が皇子」と声がかかる。

「んー?何・・・!?」

振りかえった瞬間。

ペチ、と自分のデコに華の指が当たる。

デコピンだ。

「へ?華?」

突然の事に目を白黒させていると

「バカ」

してやったりの華の顔が。

一体なんだと抗議の声を上げようとするも
あんまりにも優しい顔をして笑うから。




・・・だから。

ほんの少し、ほんの少しだけその表情に見とれてしまった。とか、触れられた部分が熱くなっていく、とか。



気のせい、だと思う。


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1、誰にでもスキだらけ
(どっちがバカだよ・・・バカ。)

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