□曖昧
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「....あ」

「...おっ」


下校時間になって学校を出た所で偶然会った


____若林源三



私はこの若林と特別仲がいい訳ではない


話した事は数回


会ったことも数回


とてつもなく微妙な関係なのだ


「久しぶりだな」

「そうだね」

「....」

「....」


何より若林とは話が続かない

というより続ける気もあまりない


「お前まだサッカーやってんのか?」

「最近少しやれない日もあるけどまだ続けてる」

この男の言う通り

私は女だけれどサッカーが好きで

小さな頃からずっと続けてきている

「ふーんそうか」

何よその反応はそっちから聞いてきたくせに、というのは心の中だけに抑える

「....」

「.....お前とは話が続かないな」

「....すいませんね」

「....いや別に」

「帰らないの?」

もう話す事はないという思いを少なからず込めている言葉である

「...」

なぜ黙るのか

さっさと帰ればいいじゃない....

突然甲高くうっとうしい声が後ろから聞こえてきた


「あっ若林君よぉ!!皆ぁ!!」

「ええっ?!あっほんとだぁ若林君!!」

「....げ」

小さな声だったが...げ と言った若林

多分私にしか聞こえてはいないだろうが

女子の集団登場

しかも私の苦手なタイプ

なんでいつも群れてないと行動できないのだろうかこの子達は....

決して悪い子ではないのだけれど....

「ねぇねぇ若林君次はいつ試合があるの〜?私達見に行くわ」

「まだ次の日程は分からないんだ悪いな...」

「ええ〜そうなの?じゃあ分かったら教えてねっ」

女子の集団に囲まれてる若林

さっきは嫌そうな顔だったけどなんだか今は楽しそうに話してるじゃない?

別に私には関係ないけど

「(もう帰ろう)」

挨拶ぐらいはしていこうかと思ったけど必要ないだろうと真っ直ぐに家に帰った







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