銀魂二次創作(NL)

□彼岸花
1ページ/2ページ

見回りの途中に、あれを見た。
赤くて、しゅんしゅんしてて、きれいな。



『姉上!この花、なんですか?』
『これはね。彼岸花って言うのよ』
『彼岸花?』
『きれいでしょう。赤くて。たまに白いのとか、黄色いのもあるの』
『僕、見てみたいっす!』
『私も見てみたい。でも、毒があるから食べちゃだめよ?』
『食べるとどうなるんですか?』
『そうねぇ…お腹壊したり、気持ち悪くなったり』
『僕、怖いです…姉上』
『大丈夫よ。もしそーちゃんがお腹壊したら、おかゆ作ってあげる』
『おかゆ!?姉上のおかゆだいすきです!!』
『ふふ。あ、お腹すいた?』
『すいた!』
『今日はね、なに作ろうかしら』
『ハンバーグ!!ハンバーグ食べたい!!』
『そうねぇ。そーちゃん頑張ってるから、ハンバーグにしましょう』
『やったぁ!!姉上のハンバーグもだいすき!!』
『ふふ。ありがとう』


なつかしい思い出だ。
いつだったか。武州のとき。

あぁ、姉上のハンバーグ食べたいなぁ。
もう、食べれないけれど。

勿論この女にもそんなことは求められないし。


「彼岸花、って知ってるか?」
「彼岸花?」
「知らねぇ?赤くてしゅんしゅんって生えてるやつ」
「聞いたことなら、ある」
「匂いがいいんだよ。これまた」
「花なんかに興味あるの」
「んー。姉上がよく見てた」
「ミツバ…って人?」
「あぁ。沖田ミツバ」
「きれいだったんでしょう?」
「すげぇ、美人だよ」
「私とは正反対?」
「あぁ。全く違ぇ」
「シスコン」
「てめぇは上司コンだろ」
「異三郎は、親代わりなの」
「姉上だって、親代わりだったぜ」
「私には、血の繋がった人がいない」
「だろうな」
「名前だって、誰がつけたかわからない」
「信女、か」
「何を信じるって言うの。私には元々何もないのに」

そんなこと言われたら、俺なんて返せばいいの。
Sは気が利かないんでィ。

「いいんじゃね?お前だって信じたいものくらいあんだろ」
「異三郎」
「じゃあ、佐々木信じりゃいい。俺は近藤さんを信じる」
「そうね。ありがとう」
「お前らしくねえな」
「そう?」
「おう。礼なんて言わねえだろ。いつも」
「あなただって言わないじゃない」
「まぁ、そうだけどよ」

こいつ、姿勢だけはいい。
佐々木に矯正されたか?
そんなに姿勢良くドーナツ食われてもなぁ。

「ドーナツ旨いか?」
「うん。おいしい」
「俺の○○○は?」
「それなりに」
「それなりってなんだよ」
「それなりはそれなり。ドーナツの方がおいしい」
「まぁ、ドーナツよりうまいって言われたらちょっとなぁ」
「でも、すきよ」
「マジで?」
「うん。すき。あなたも、ドーナツも」
「…マジでか」
「あなた、自分以外の奴なんてどうでもいいって顔してるけど、気をすごく使ってる」
「は?」
「私は別に、沈黙とかは気にしないけれど、あなたは気にする。だから私にたくさん話しかける」
「そうか?」
「私、あなたと話すのきらいじゃない」
「そりゃ結構なことで。俺も嫌いじゃねぇぜ」
「ねぇ、ムラムラしてきた」
「そこらへんのホテルでも入るか」
「なんか高いとこばっか」
「俺金欠なんだけど」
「私も」
「じゃ、もう公園でヤッちゃおうぜ」
「汚いから嫌」
「なんだてめーめんどくせぇな」
「あなただって泥まみれの○○○には入れたくないでしょ」
「確かに。じゃあ屯所行こうぜ」
「それ、いい」
「だろ?」

悪巧みした唇を歪めると、俺達は歩き出した。
今日は果たしてその鉄仮面を剥ぎ取ってくれるのか。
楽しみだなァ。


「おい」
「?」
「これ、彼岸花」
「きれいね。赤くて」
「お前、姉上と同じこと言ってる」
「そうなの?」
「おう」

未だに脱げない鉄仮面をつけたまま、無機質な声が俺を呼んだ。

あぁ。なんか、彼岸花に似てる。
こいつ、屯所に持って帰っちまったら、火事になるんだろうか。




●●
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ