べるぜバブ二次創作

□もうこの変態どうにかしてくださいよ
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男鹿辰巳の一世一代の告白。
それがきっと今の瞬間なんだと思う。

数秒前、男鹿は俺に好意を伝えた。
そのくちびるが、あの二文字に動いた。

すき、だなんて。

そんな言葉、俺に向けちゃいけない。
お前の周りには、もっと、他にもいっぱい、いるだろ。

高校入って、こんなにいっぱい人がいるんだ。
お前のことを好いてくれてる奴もいっぱいいる。
羨ましいくらいに。

なのに。なのに、おまえは。

やめて。おれのかお、みないで。


「古市、なんで泣いてんだよ」
「泣いてるわけねーだろ」
「泣いてんだろ」
「ばか。はげ」
「ハゲてねーよ!」

すき。おれもすき。
おまえのこと、ずっとまえからすき。
だれよりもすき。だいすき。

「なぁ、古市。その」
「すきだよ。俺も」

わ。顔真っ赤。
こんな男鹿、人生で初めて見た。
アバレオーガなのに。


「マジで?」
「おう」
「嘘ついてねぇ?」
「信じろよ。ばか」
「ばかじゃねーよ!」
「すきだったよ。ずっと」
「俺も。ずっとずっと前から、すきだった」

ぎゅう、と男鹿が抱きしめてくる。
絶対離さないって言ってくれてるような気がした。

ぴったりくっつくと、あったかいな。

はじめてだった。
こんなに誰かと強く抱き合ったのは。

冬の夜中の道に、ふたりでずっといた。


***

「おはよ、男鹿」
「お、おう」

ぎこちなすぎだろうが!!

「なぁ」
「…」
「男鹿?」
「…」
「なんで無視すんの」
「べ、つに」
「なんだよお前。おかしくね?」
「普通、だけど」

いやいや明らかにおかしいですけど?
緊張してんのかな。さっきから顔真っ白だし。

「男鹿、その、俺らさ」
「ごめん」
「は?なんで謝ってんの?」
「いや…」
「お前が謝る理由とかなくね?」
「…」

黙っちゃったし。

「ねぇ、男鹿?」
「…」

のぞきこんでみると、男鹿の顔がもっと赤くなった。
さっきから目も合わせてくれない。

「顔、真っ赤だぞ?熱でもあんの?」
「別に」
「いやいや、なに言ってんだよ」
「なんでもねぇ」

なんでだよ。
俺のこと嫌いなの?

それから何も話さずに学校まで行った。
教室でも明らかにおかしい俺達に、喧嘩?とかいろいろ聞かれた。
俺が一番理由知りたいんだけど!

せっかく、わかったのに。
昨日は嬉しくて眠れなかった。
人生で一番幸せだったんじゃないかってくらい。

おが。
こっち、見てくれたって。







結局、何も話さずに帰り道。

「男鹿」
「…」
「なんで今日は喋ってくんねぇの」
「ごめん」
「謝ってちゃわかんねぇよ。なに、俺のこと嫌いなわけ?」
「ちげえ」
「じゃあなんで。俺ら付き合ってんじゃねぇの。なんなの。昨日のなんだったんだよ」
「ばか古市。わかれよ。付き合いなげぇんだから」
「はぁ?エスパーかよ」
「わかんだろ。普通」
「もうやだこの馬鹿」
「でも好きなんだろ?」

くそ。ムカつく。
なんだこの自信、どっから湧いてんだ。

「好きだよ。馬鹿。悪いかよ」
「いや、俺も好きだし」

なんだよ。ほんと馬鹿。
恥ずかしいやつ。

「で、なんで喋んなかったんだよ」
「…お前、かわいすぎんだよ!」
「はぁ?何言っちゃってんのお前!!!!!!嬉しくねぇよ!」

マジなんなのこいつ!!!!頭沸いてんじゃねぇの!?

「いいか古市。お前はそこら辺の女子より確実に可愛い。その顔で俺に覗き込んでくるとかなぁ…勃つぞ」
「なにこの変態!!捕まれ!!マジで!!」
「いや、そこは照れるべきだろ」
「だからなんなの!?キモい!!お前どんなキャラ!?」
「大丈夫だ。痛くしない」
「最低だこいつ!!下心しかねぇじゃねぇか!!」

勿論全くそういうことを考えなかったわけじゃない。
だけどこんなだとは思ってなかったわ!!

「いいだろ?」
「よくねぇ!!」
「なんでだよ」
「こういうのはもっと大事に…」
「ほう。俺との初めてを大事にしたいと」
「馬鹿!そういう言い方すんな!!」
「嬉しいぞ?ふるいち?」

ほんとムカつく。こいつ。

「男鹿」
「なんだよ」

男鹿の首筋に抱きついて、キスをしようとする。
あれ、なんか。なんかやべえ。なんだこいつちくしょう。

「ん」

男鹿が屈んでくれている。
屈まなくても届くっつのばか!!

「おが、」
「だから、勃っちまう」
「へんたい」
「ちょ、マジやべえから!」
「でも、すきだぜ」
「…っ」

油断していると、口が塞がれる。
かわいいなぁ、なんて思ってしまった。

真冬でも、こいつがいればきっとあったかいはずだ。

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