黒バス二次創作

□二回目の特権
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あれから二週間が経っていた。

今吉さんと連絡をたまにだけど取ってる。
あっちは一応受験生だしね。

内容は、どうでもいいことだけどそれなりに盛り上がっていた。
今吉さん面白いし、ちゃんとダジャレツッコんでくれるし!

俺のダジャレライフは以前同様に充実したものになっていた。
十字架が充実か!?キタコレ。

だからきっと、なんていうか今吉さんのおかげで今こうやっていられるんだと思う。
今吉さん今良し!やば。報告しなきゃな。

ブブ…

メールをあらかじめ得る。

『買い物行いかへん?眼鏡変えよかと』

今吉さん眼鏡変えんのか。
コンタクトは入らなそうだしな…って俺すごい失礼w

『いいですよー(・∀・)』

この顔文字コガに伊月に似てるって言われたんだよな。
なんかそう言われてからよく使っちゃう。

『あと、今吉さん今良し!ってよくないですか』

送信します、と。


なんであの時今吉さんは俺を抱いたんだろう。

それだけがぐるぐると回って、なにがなんだかわからない。

俺もあの人もやっぱりおかしくて、もう手遅れかもしれないってこともとっくに気付いてる。
でも、どこかで変わらなきゃいけないって思ってる。

きっと俺もあの人も似た者同士なんだと思う。
だから俺はそんな今吉さんに抱かれたのかもしれない、なんて。精一杯綺麗な言葉で飾る。



ブブ…

『ええなぁそれw
明後日とか空いとる?お休みなんやけど』

お休みって…お休みって、可愛い。

『空いてますよー』
『ほんなら誠凜の前10時くらいに行くわー』
『了解です・ω・)ゞ』
『ほなまた(・∀・)人(・∀・)』
『おやすみなさい』

さて、寝るか。

日向は、もう今頃は寝てるんだろうか。
あいつ寝るの早いからなぁ。
日向ん家泊まると、あいついつも先に寝るんだよ。
困ったやつだよなぁ。ほんと。

木吉も、悩まされてるのかなぁ。
いやあいつはそんなんで悩まない。

俺が弱いから。
だからあんなのにいちいち振り回されるんだ。




***



「すいません」
「おーワシもさっき来たばっかやから」
「ほんとですか」
「ほんまよ〜」
「じゃ、行きます?」
「せやなー」

眼鏡屋なんて人生初だ。
目の良さには昔から定評がある。
今でも2、0はあるんじゃないかな。

「これなんか似合いそうですよ」
「赤はちょっときついやろ〜。ワシ似合わんて」
「いやいやー似合いますって。桐皇のユニフォームに合いそうじゃないですか」
「いや、ないわぁ。きしょいわぁ」
「えー?」

似合いそうだけどなー。
でもやっぱ赤って難しいのかな。
自分もかけてみたけどそんなにきつくはない。
うん。寧ろ自分で言うのもあれだけど似合ってない?

「伊月くん眼鏡似合うの〜」
「そうですか?」
「目良いのもったいないで」
「はは。こればっかりはー」


結局今吉さんは、今までのと全然変わってないようなデザインのものを選んだ。
せっかくだから挑戦してみればいいのに。


「な、伊月くん」
「はい?」
「こないだの、な」
「…はい」
「嫌やった?」
「いえ。俺、嬉しかったです。まだ生きててもいいかなって思いました」
「面白い冗談言うな〜自分」
「冗談じゃ、ないですよ」
「じゃ、ワシと付き合ってって言ったら?」
「…冗談ですか」
「んー。本気やって言ったら?」
「本気でお答えします」
「伊月くん。ワシ、責任とるから」
「何の責任ですか」
「ああなってしもた以上、変な関係は嫌やから。ワシ」
「俺も、セフレとか耐えられません」
「付き合おか。伊月くん」
「俺、相当めんどくさい奴ですよ」
「一回抱いとるから大丈夫やわ」
「そうですね。心配ありません」
「ワシも、相当めんどくさい奴やで?」
「一回抱かれてるから心配ありません」
「せやな。心配なんてせぇへん」
「心配して心肺停止」
「キタコレ?」
「キタコレです」


それから今吉さんと長らく喋って、帰った。
あの人、胡散臭いけどいい人だよって誰かに聞かれたら答えようって思った。




***



季節は春を迎えようとしている。
今吉さんの大学の合格が決まり、何より安心した。


「日向。この後空いてる?」
「まぁ」
「話したい事があって」
「あぁ。つかここで話せば?」
「いや…それは」
「へー」
「あの、マジバでい?」
「おう。おごりな」
「はは、ひどいな。はっ!おごりにこりごりで怒り!!」
「伊月黙れ」

けじめをつけなければ。
ずっと考えていた。

あの日から何度か今吉さんと体を重ねた。
日向のときとは違った。
もっと優しくて、俺のこと考えてるってすごくわかる。

それに返したいって思った。
ちゃんと今吉さんに返したい。
あの人にも、幸せだと言ってほしくて。
こんなだけど、今吉さんのことが好きだと思う。

「日向コーヒーなんだ」
「おう」
「コーヒーかぁ・・・」
「お前、コーヒー苦くて飲めないんだろ」
「うん・・・コーヒーゼリーは大好きなんだけど」
「で、なに」

ふぅ。自然に言おう。

「俺、桐皇の今吉さんと付き合う事になった」
「はぁああ!!!?!」
「声でかい。しーっ」

んん、と日向が押し黙る。

あ。駄目かもしれない。

「それにしてもなんで今吉さんなんだよ」
「なんか俺の事ずっと気にしてくれてたみたいで。連絡来て、それから、まぁ色々と」

嫌そうな顔をする。
わかるよ。ああいう人、日向嫌いだもんね。
知ってるよ。俺。お前のこと。全部わかってるよ。
だから好きだよ。好きだった。
日向と一緒にいたいと思えたんだよ。

どうしよう。ないてしまいそうだ。



「へぇ」
「で、今吉さんにプレゼント渡したいんだよね」
「なんで」
「卒業と合格祝い?ってゆーか。ほらあの人東大だから」
「すげーな。やっぱなんか次元が違うわ」
「まぁ、そうかもね」

でもいい人だよ。
優しいし。俺のこと思ってくれてるよ。


「なに、いい感じなの」
「うーん。そーだなぁ。多分」
「多分ってなんだよ」
「でもちゃんと好きだし、好かれてると思うよ?」
「おめでと。いいことじゃん」
「ありがと。で、どうしようかなぁ」
「ま、お前からのならなんでも喜ぶだろ」
「そうかなぁ?」
「あぁ」
「つか何て呼ばれてんのお前」
「俊くん」
「何て呼んでんの」
「今吉さんとか翔一さん」
「ほー翔一さん、ね」
「なんだよそれ」
「なんか下の名前にさんってなんかエロくね」
「いや、わかんないわ」
「俊さん」
「うーん。わかんない」
「なんか駄目だな。俊ってのが駄目なのか?」
「順平さん」
「…なんか違うわ」
「鉄平さんとか慎二さんとか」
「なんか違うな」
「くん、かな」
「順平くん」
「おぉ。いい感じ。翔一くんって言ってみれば」
「ジャニーズかwwwはっニーズに応えるジャニーズ!」
「それ今吉さんの前でやるなよ」
「わかってるって」

知ってるよ。君がいま、後悔してることを。




「ねえ日向」
「ん」
「やっぱり俺、コーヒーは苦くて飲めない」
「だな。俺もコーヒーゼリーは甘くて食えん」
「やっぱり、よかったのかもな」
「・・・おう」


俺には日向じゃ少し苦すぎたかもしれない。
甘くてミルクか生クリームのいっぱい入ったコーヒーゼリーが食べたかったんだ。

そうだよ。そうだ。
だけど日向が好きだったよ。
日向が、好きだったよ。

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