家庭教師は好きな人でした。
□[23]やっぱり皆さん物好きですね
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最近考えるんです。
黄瀬君にとって、ボクは今どんな存在ですか?
ボクは変わらず黄瀬君が大好きです。
変わらず、っていうのは違いますね。
遠くから、バスケしてる黄瀬君を眺めてただけのあの頃より、もっともっと。
まだまだずっと、この先も大好きは大きくなっていくって、自信持って言えます。
黄瀬君にとっての、ボクは?
あの頃はまだ黄瀬君の母校の制服を着たただの一見学者でしかなかったボクは、まだ家庭教師のバイトの教え子止まり?
(でも、いっぱいちゅーしてるし、いっぱい抱き締めてもらってるし、赤司君達しか知らなかった事も教えてもらえてるし、)
でもやっぱり、考えても分からない。
黄瀬君にとって今のボクは、いったいどういう存在なんですか?
「ありがとうございました、またよろしくお願いします」
配達を終えて、店を後にする。
配達の仕方も随分慣れたし、最近やっと顔を覚えてもらえるようになった。
「黄瀬君まだホールにいるかな……」
帰りにも覗いてみた黄瀬君のバイト先のレストラン。
結構お客はいるけど、動き回るスタッフの中に黄瀬君の姿はない。
「あれ、休憩入っちゃったんですかね」
残念だけど、しょうがない。
明日は家庭教師の日だしバイト帰りにストバス行けばもしかしたらいるかもと、とりあえずお店に戻ろうとした時。
「当店に何かご用でしょうか?」
「あっすいませ……黄瀬君!」
声をかけてきたのは、クスクス笑ってる黄瀬君。
まだ制服姿です。やっぱりかっこいいなぁ。
「配達終わったんスか?」
「はい、今帰るところです。黄瀬君は休憩ですか?」
「ううん、店長のお使い行くとこ。近くまで一緒に行こっか」
「はいっ」
「プチデートっスね」
「!」
お願いだからあんまり喜ばせるような嬉しい事言わないでください、黄瀬君。
(顔がにやけちゃいますから!……ええいボクの表情筋、今は仕事しなくていいですよ!)
言った側から緩む顔の筋肉をグニグニ手で直してたら、ふいに黄瀬君がポンとボクの頭に手を置いた。
「赤司っちが感心してる。黒子っちよくやってくれてるって」
「え?」
「黒子っちのお陰でお得意様も増えたし、黒子っちがいるとお店が明るい雰囲気になるって」
「褒めすぎです」
でも嬉しい。そんな風に思ってくれてるんですね。