家庭教師は好きな人でした。
□[3]脳内プロフィールに追加追加
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「ここ?」
「はい」
いつもの場所。いつもより、ちょっとだけ遅い時間。とは言ってもほんの数分だけど。
「……やっぱり来てませんね」
今日は木曜日だから、黄瀬君が来てないだろう事は予測してましたけど。
ベンチや試合をしている中に黄瀬君の姿はやっぱりなくて。
「あ、やっぱり黒子っちだ」
後ろから、黄瀬君の声がして振り向いた。
「黄瀬君、こんにちはっ」
「はいこんにちは。昨日はどうもっス」
言いながら、ボクの頭に手を乗せて撫で撫でしてくれる。ああ幸せ。
「あなたが、黄瀬さんですか?」
話しかけたのは、和君。
「うん?そうっスけど。黒子っちの友達?」
あれ?黄瀬君左手気にしてる……?
「はい。高尾 和成って言います。こいつとは12年の付き合いで、こっちは火神 大我。中学からの付き合いです」
「どうもっす」
「どうも。背が高いね、あんまり俺と変わらないくらい。何センチ?」
「190ジャストっす」
「俺193だからやっぱりあんま変わんないね。何かスポーツしてる?」
「バスケは好きっす、部活は入ってないけど。というか、自分より背が高い人久々に会ったっす」
「あはは、俺よりまだ背の高い人チームの中に何人かいるっスよ。バスケ好きなんだ」
あれっ、ボクの脳内黄瀬君プロフィールでは身長189センチなのにまた伸びたんですね、上書きしときます。
ボクとの身長差25センチ、なるほどイケメンは成長期も無限なのですね納得です。
そしてやっぱり左手気にしてる。どうしたんでしょう、痛めたのかな。気付かれないように、下の方で左の手首さすってます。
「えーと、じゃあ黒子っちをテッちゃん呼びしてるのが、高尾クン?」
「……っは、い」
焦りながら返事をすると、黄瀬君はまた笑ってくれた。ああ、眩しすぎる。
「ちょっと黄瀬何やってんだよ、早く行かないと遅れる……あれ?もしかしてその子、例の子?」
黄瀬君の後ろから来たこの人も、ここでよく見る。
「今行くっス。紹介するね、この人は森山 由孝。中学からずっと同じ学校の、2つ上の先輩でバスケ仲間」
「……ん?そこにいるの高尾か?何でここにいるんだよ」
森山さんって黄瀬君から紹介された人が、和君見てびっくりしてる。
「俺もびっくりした。あんたこそ何やってんの」