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□バレンタイン企画※
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「月希? 飲み物用意しとくよ? クリームって冷蔵庫だよね?」
「へ!?」
突然の優貴の声にはっと我に返ると、優貴は冷蔵庫を開けようとしてて。
「まっっっだっっっ!!!!」
と俺はと大声を出した。けど。優貴はすでに冷蔵庫を開いていて。
「……え……」
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………」
俺は悲壮な声をあげる。優貴は絶句。だって目の前にあるものになにも言えないだろうから。困惑した表情でゆっくりと俺の方をみる優貴に、俺はかぁっと顔が熱くなった。
「〜〜〜〜〜〜ッな、なんで勝手に開けんだよぉ! 優貴のバカ!!!!」
「……え……あ、ごめん……」
真っ赤な顔で半泣きの俺。うわぁ、絶対秘密にする予定だったのに!!!!!
――タイミングが良いのか悪いのか、トースターの”チン”という音がなる。
「……あ……」
優貴がすん、とにおいを嗅ぐ。トースターの中には温まったフォンダンショコラ。
「う゛う゛う゛〜〜〜〜」
俺は声を出して半泣きながらのろのろとトースターの方へ寄っていく。
取り出そうとして、慌てて手を止める。ギッと勢いよく優貴の方を睨んできた。
「優貴は俺の部屋!!!!!!!!」
「う……はい」
俺の気迫に負けてか、優貴はしぶしぶ戻る。
紅茶をお盆にのせて俺は自分の部屋へと向かう。
「……」
「……」
俺は立ったまま「……ぅ……あの……」とぶつぶつと呟く。
大丈夫、大丈夫。一応味見だってしたんだ。
やっと決心してゆっくりと座って、紅茶と皿にのったものを優貴の前に置いた。
「……優貴の分は、これ……」
優貴は皿にのったものを凝視していた。ハート型のチョコケーキにクリームを端に添えられたもので、ケーキには白い粉砂糖もかけられており、綺麗で見た目だけは満点。味はどうだか優貴の好みにも寄るし、わかんないけど。
「……え?」
「だから! その! これは、俺から! 優貴に! ば、バレンタイン、チョコ……」
うう、と俺は半泣きになりながらちらり、と優貴の方を見た。
「……俺に?」
俺は真っ赤にしながらゆっくりと頷いた。
「こっ恋人……だからっ! こういうのは、ちゃんとしようって、思って! その……委員長に……」
「教えてらって……」とごにょごにょ俯いて言う月希は、本当に耳まで真っ赤だと思う。だって、もうこれ以上にないくらい顔が熱いから。
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