こちら暁学園、隠れ腐男子です★

□第八話……なにも言わずに抱きしめて、
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 …………最近、城崎が冷たい。

「……」

「……」

 城崎と付き合って、1ヶ月がたった。でも、城崎はまた最近になって俺を避けるよになった。

 ののむーや葵には普通に話してる。

 でも、俺が話しかけると挙動不審になって顔を真っ赤にしてののむーの所に逃げ込むのだ。

 二人は、城崎にとって大事な友達。分かってるけど、もやもやする。

 それに、これとは別件で、ののむーや葵に対してもやもやした感情が出てきた。

 …………?

 もしかして、

 ヤキモチ?

 ……むぅ。そういうのじゃなくて、なんか納得できないような感じ。なんだろうこれ。

「……むぅー」

「どうしたー瀬口ー」

「……冷たい……」

「……ははっまた柚葉で悩んでんだ?」

「……むぅー。だって、なんでか、俺を、避ける」

「……まぁ、それは瀬口には言いにくいかもなー?」

「? なにか、知ってる?」

「……さぁーなー? 本人に聞いた方が早いんじゃねーのー? 答えないだろうけど」

 にやにやしながらののむーは俺の方を見た。

 ののむーは知ってて、俺は知らないこと。

 ……なんでも話すって言ったのに。城崎の嘘つき。むぅー。

「瀬口くん、これ、ノート」

「……あ、うん。ありがとう、城崎」

「ッううん。大丈夫。て言うか和葉、瀬口くんをなに困らせてんの?」

 少しだけびくついた表情。それは、少しショックだった。

「はぁー? 困らせてねーしー。柚葉こそ言いがかりは止めろよなー」

「なんだと! 葵くんに和葉が浮気してるって言いがかりつけるからな!」

「はっ! つけるもんなら言ってみろよ、俺と葵の間に浮気なんて言葉は通用しないんだよ」

「このバカップル!」

「そっくりそのまま返すぜ、あほ柚葉!」

 …………あ。

 分かった。

 このもやもやの正体。

 ……嫉妬じゃなくて、羨ましかったんだ。






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