短編

□キミとずっと一緒にいたいから。※ユキト×蒼
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 ――お前は、俺に救われたって言うけど。

 あの時救われたのは俺の方だったんだ。

 なにもかも信じられなかった、俺にとってはお前の言葉に、存在に――癒やされていたのだ。








 人も、吸血鬼も嫌いだ。

 ――気持ち悪いんだよ! 人の血が流れてるなんて……。

 ――吸血鬼のお前なんかに情なんて無いよ! 俺らを殺す野蛮な奴め!

 俺が人の血と、吸血鬼の血が混ざっているからと言って、どちらからとも疎まれて、良いことなど何一つ無かった。

 俺はいわゆる異色の血が流れていて、人と吸血鬼の間に生まれた。

 母は病死し、吸血鬼の父は行方不明。そんななか数百年生きてきた俺は誰とも関わることはなかった。小さい頃に受けた暴力のせいで、人とも、吸血鬼とも遠ざかっていた。

 俺は吸血鬼と人のハーフだから日光に当たっても消え失せたりはしない。せいぜいヤケド程度だ。しかしわざわざ怪我をしに行く意味など無いので、この家に閉じこもってばかりだった。

 ただ、食べ物ばかりは調達しないとダメなので、夜の町へと向かい、職を偽って輸血用の血を買う。そんな日々を過ごし、また朝寝てを繰り返す。

「……俺って、生きてる意味あんのか……いっそ死ぬか?」

 そんなことを考えて夜の森を歩いている俺に、か細い声が聞こえた。

「……?」

 数秒後、がさがさとなにかが落ちる音と共に、上の方から少し甲高い声。

 声のする方へと歩いて行くと、塊があった。……否、人だった。

 あまりにも弱々しい息と、血だまりに、俺は息を呑む。生きている血のにおいに、くらっとしつつ、人の方へ近づくと、あまりにも小さい少年だった。

 ……人の子か……まぁ、俺には関係ないか。俺だってどうせ死ぬし。

「……」

「……た……す、……て……助けて……」

 ――その言葉に、なぜ俺は反応したのだろうか。もうすぐ死ぬだろう子供を助けようと、どうして思ったのだろうか。あまりにも必死に生きようとしているから、見たくなったのだろうか。そんな辛い、痛い思いをした子がどう生きるのかを。俺と違う結末に至るのかどうかを、知りたかったのだろうか?

 吸血鬼の体液は、治癒効果がある。俺はハーフだから即効性の完全治癒ではないが、出血を塞ぐことぐらいの能力はある。出血していると思われる所に、舌を這わせ、傷口を舐めると血が止まっていく。……誰かのために、こんな事をしたのは初めてだった。

 そのまま少年を抱き上げると、軽すぎる体重に驚く。……いくら何でも、軽すぎた。









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