眠り姫に甘いキスを。
□第四話…「おかしいのは、ずっと前から。」
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優貴と少し話したからか、どうなのかそれは分からないけど、俺は悪夢を見ることなく、ぐっすりと眠ることができた。
……もう、体力的に限界だったのかもしれない。
「……姫川くん?起こしちゃったかしら?」
「……ううん。起きただけです。…すいません、授業サボって。」
「…いいのよ?姫川くん基本真面目だから。…今回だけよ?」
冗談めかして吉岡センセーは笑う。
…優貴と笑い方が似てるなぁ…
「……それに、姫川くん朝は本当に泣きそうな顔してたから、心配だったし。来てくれてよかったわ。…うん、ずいぶん元気そう。よかった。」
ほっとしたように優しく俺の頭をなでる。ああ、本当に優貴みたい。
「……朝、本当に死にそうな顔してたけど…なんかあったの?」
「……………………。」
その言葉に、さっきのことや、昨日のことを思い出してしまって、顔が真っ青になったり、真っ赤になったり、俺は忙しい。
…違う、あれは優貴がキスしてくるのが悪い!
「……なにか…あったの?いやじゃなかったら、話して?」
「……………。」
俺は少し迷って、“男に”ということは伏せて、告白されたことを話すことを決心した。というか誰かに聞いてほしかった。
「……センセーはさ、告白……されたこと、ってある?」
「……っ!姫川くんにも春が来たのね?!」
「ち、違う!!断じて!!違う!!」
「ふふ、冗談よぉ」とセンセーは笑って、ぽんぽん、っと俺の頭を撫でる。
「……告白…されたの?」
「……うん…。」
ぽん、とまた頭を撫でられて、俺はくすぐったくなる。
「…………そうね、私も悩んだことあるなぁ…。知らない人から告白されて、最初は本当困ったよ。」
「……全然知らない奴だったらよかったのに。」
ぽつり、とつぶやいたことなはセンセーには届いたようだ。
「…姫川くんの…友達から、だったの?」
「……うん。大切な…友達。」
「……そっかぁ、それは辛いよねぇー…」
「……センセーは、友達から告白されたこと、ある?」
センセーがモテるということは分かっていたけど、やっぱり友達からってのもあるのかな?
「…うん、あるよ。……でもね、友達からは一人だけよ?」
……へぇ、意外。もっといそうなのに。…あ、いや、知らない人のが多いのか、な?