眠り姫に甘いキスを。
□第八話……「にこやかに言うなあああ!!」*裸表現注意*
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……あれ、今何時だろう。
そう思って目を開けようとしたとき、口を塞がれて思わずびくついてしまう。
「……ッ」
「……月希?」
優貴の声がすぐ近くから聞こえて起こしちゃった? と頭を撫でられる。
「……ぅうん。今起きたとこ」
おずおずと優貴を見ると、優貴はやはりからかうような笑顔。
うう……やっぱ俺、優貴と……ッ!
「おはよ、月希」
「……っぉ、おはよう……」
とりあえず赤い顔を見られたくなくて、優貴の胸に顔を埋める。
「……月ー希、顔見せて」
「……ヤダ。恥ずかしいもん」
「もんって……可愛い。み、せ、て……?」
耳元で囁かれてびくっとしてしまう俺のでこに優貴はキスをする。反射的に俺は上を見上げてしまい、優貴と目が合う。
「……ぅぅ……」
「……可愛い」
「……うー……」
ゆっくりと俺の頬を撫でられ、優貴を見つめることしか出来ない。
「……月希?」
「……ねぇ、優貴」
ん? と俺の顔をのぞき込んで優貴は笑う。
「……あ、あのさ……これって、普通……なの、かな?」
「……ん?」
「…… そ、その……つ、付き合って、その初日に、その、あの、えっ……えっち? する、もん……なの、かな……?」
これ以上にないくらい真っ赤な顔で、俺は恥を忍んで優貴に聞いてみた。
「うーん、普通じゃないかもね?」
さらっと優貴の返答に俺はぽかーんと呆けてしまう。
「――だってさ、男同士で付き合う時点で、普通じゃないよね?」
「そりゃあ、そうだけど」
「――ただでさえ普通じゃないんだ、他人にとって《普通じゃない》のが俺らの《普通》なら、それでいいんじゃない?」
優貴は心配そうな顔の俺の頭を撫でて、穏やかに笑う。
「――だから、みんなにとっての《普通じゃない》なら俺たちにとっては《普通》なんだし、俺たちの《普通》を楽しもうよ、月希?」
「んっ」
ちゅ、と軽いキスを優貴にされ、それは次第に深いモノへと変わる。
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