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□2015.2〜2015.3
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バレンタイン企画(王×姫)
――バレンタインと言う日を、今まで全然意識したことはなかった。
だって、絶対本命からはもらえないんだって分かってたから。
友チョコみたいな、そんなものしかもらえないって……十分、分かってたから。
――けど。
今年は少し期待して良いのかな、なんて俺は思うくらい今年は浮かれてた。
今思えば、俺は浮かれていたのだ。
「おはよー! 王子❤受け取って❤❤」
「王子くん……これ……///」
俺が登校するとすぐさま先輩や同級生の女子に囲まれる。毎年の事ながら、少しだけこのときは憂鬱だ。
「……ありがとう。――でも、ごめん。受け取れない」
毎年の事ながら、俺みたいな奴になんで本命をあげるのかと思ってしまう。櫻井は櫻井で(月希のこと好きなくせに)断らずにたくさんもらってるけど、俺は俺でやっぱり断るのには少しだけ、罪悪感。
「王子くんって本当真面目だねぇ。受け取るくらいすれば良いのに」
「うーん……でもどうせ答えられないのに、もらって期待させるのはどうかなって思うし……」
「はいはい、王子くんは姫くんからもらいたいんだもんねー」
委員長はふふ、と笑ってそう言った。
「おはよ! 優貴、委員長!」
今日も俺の好きな笑顔で月希は笑って近づいてきた。外が寒かったのか、耳とか、顔が少し赤い。
「おはよ、月希」
「おはよー姫くん」
「……あッ! 委員長、優貴これー! いつもお世話になってるから!!!」
ごそごそと渡されたのは綺麗にラッピングされたもの。委員長と同じ袋で中身はクッキーだった。
「……えっ!?」
「……え??」
委員長の驚いた声に、月希はきょとん、とした顔で委員長を見つめ返した。
……まぁ、そうだよね。月希ってこういうとこ疎いもんね。少し期待してたから、若干へこんでしまう。
「えっだって、姫くん……これ……」
「……委員長???」
月希は本当に何のことか分かっていないらしく、??? としながら首をかしげていた。
「――月希、ありがとう」
俺は出来るだけ笑顔で月希の頭を撫でると、月希は嬉しそうな顔でまた笑う。
「……うん! ついでに北川早瀬石田ホントについでに櫻井にもくれてやっても良いぞー! 一応お世話になってるしな!」
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