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□2014.12〜2015.01
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デート
……優貴と付き合って数日後。
付き合ったからと言って何か大きく変わるわけでもない。
変わったと言えば優貴が前より優しくなって、スキンシップが激しくなって……あと、体を重ねることが増えたくらい。
……いや、ずいぶん大きく変わってた。
「月希ー」
……いや、まだあった。
優貴が、時々甘えたような顔で俺にすりよってくるようになった。……やじゃないけど、嬉しいけど……
「学校でしないでっていったじゃん……」
「……月希、これ付き合う前に月希がしてたことだけど?」
「へぁ!? し、してねーし!」
「……いや、してたぞ」
「してたね〜姫っち☆」
「そんな姫が可愛かったけどね!」
北川たちの同意の声と共に頷いているのを見る。
「い、委員長……」
「……あれ、無意識にしてたの、姫くん?すごいね?」
「……」
俺に味方はいないのか……
「つーか、クラスのやつらには知れ渡ってんだからいちゃつけばいいだろーが」
「やだよ!!」
「ま、した暁にはお前らが……」
「しないってんじゃん!」
「……へぇ〜。じゃあ王子と二人きりならするんだぁ〜?」
「ッ」
「……月希?」
「……そんなの、しらん……!」
「あ、姫っち照れてる〜♪顔真っ赤〜♪」
「……ッあ、アホか! んなわけねーし!」
「ちゃんと鏡見て言えよ、ひーめ?」
「うがあううう!」
「……月希、ストップ」
「止めるな優貴ぃ! こいつら俺見て楽しんでるぅ!」
「……もう、そうやって反応するから余計からかわれるんだよ、月希?」
「……う……」
「……北川たちも。少しからかいすぎ」
「悪い悪い」
「めんごめん〜王子〜」
「……たく……もう……月希、帰ろ?」
❤ ❤ ❤
「…………」
「…………」
沈黙がなんか辛い。
なんか話題ないかなぁ……
「……ねぇ、月希」
「ん? なに、優貴〜」
「今週末暇?」
「う? うん。暇だけど」
「……じゃ、俺にその時間ちょうだい?」
「ん? なんか買いたいもんあんの? いいよ、買い物くらい付き合うって……暇だし!」
「……あのさ、月希……そうじゃないってば……」
「え? そうじゃねぇの?」
「あのね月希……俺たち、付き合ってるんだよね」
「……うん、当たり前じゃん」
「──デートしよって言ってるんだけど」
「ッ!──あ、え!?」
予想もしない優貴の一言に俺は間抜けな声をあげる。優貴は少し苦笑しながら拗ねた顔を見せた。
「……その反応、傷つくんだけど……」
「う! あ! え、えっと!」
「……月希は、俺とデートするのやだ?」
「…………いやじゃ、ない……」
「そ、じゃぁ決まり。日曜日の10時くらいに迎えに来るから」
「え……あ、う、うん……」
「(ちゅ)……じゃ、日曜日楽しみにしてる。また明日ね? 月希」
「う、ん……」
優貴にキスされ真っ赤になりながら何度もうなずくと優貴は俺から離れ、手を引く。
「行こっか」という言葉を無言で受け取って、俺たちは歩き出した。
デ……デート……
デート、するんだ……俺と、優貴が。