眠り姫に甘いキスを。番外編

□貴方の特別に、
1ページ/7ページ

「――いよいよ、だな」

 北川くんの声に、私たちクラスメイトは息を吐く。

 教室を慌ただしく出て行く姫くんを見送り、私たちは教室で円になって話し合っていた。

「……本当、姫っち達ってじれったいよねー★」

「本当だぜ。こっちからすれば姫達は両思いも同然なのによー」

「……本当、人騒がせだよね…姫たちは。そんな姫も好きだけど」

「本当ねぇ、私たちの居づらさ、気付きなさい! って感じよね?」

「もう委員長〜〜〜〜!!! これってさ、これってさ! いわゆるボーイズにラブって両思いなんだよね?!」

「きゃああああ❤生BLうううううう!!!」

「はいはい、騒がないのー。これから話し合うことは当人達には秘密なんだから」

「はーい! 委員長!」

「……で? どうすんだよ」

 これからクラスで話し合うことは、姫くん達には内緒の話。

 一言で言うなら、姫くん達を祝福する会、だ。

 ……さらに一言余計なことを言うなら、人騒がせな二人に迷惑料を払ってもらおう! と言う企画だ。

「……とりあえずさ、明日学校だし、明日二人が来てドアを開けたと同時にぱーんとする、とか?」

「お! それおもしろそーじゃん! ついでに二人の驚いた顔写メろーぜ!」

「イイね〜★」

「それ、クラスみんなに送れよ、北川ー」

「おっけーおっけーもちの論だ!」

「ねね、ただぱーんってするのはあれだしさ、≪おめでとーっ!≫って声かけるのは?」

「姫くん達、絶対驚くんじゃない?」

「あ、それいいー!」

 みんながいろいろな意見を出してくる。

(確かにおもしろいかも)

(みんな、なんだかんだ言って本当姫くん達好きだよね)

(……当たり前か、姫くん達は、そういう人たちだもん)

「じゃあ、冷やかし組は北川くん、早瀬くん、石田くんでイイかな? 得意でしょ? 三人とも」

「得意って……まぁ、姫をからかうのは得意というか趣味だよな! 早瀬、石田」

「うんうん〜俺、超得意〜★超姫っちいじるの好きー♪」

「……いじられる姫みるの、おもしろいよね。そんな姫も好きだけど」

「おいおい、石田〜ここまでキャラ作んなくて良いだろー?」

 あはは、と笑うクラスメイトに石田くんは、バレたかー、と笑う。

「……じゃあ、肝心の迷惑料払ってもらうのを言うのだけど、」

 そういう私に、北川くんと目が合った。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ