眠り姫に甘いキスを。番外編
□貴方の特別に、
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「――いよいよ、だな」
北川くんの声に、私たちクラスメイトは息を吐く。
教室を慌ただしく出て行く姫くんを見送り、私たちは教室で円になって話し合っていた。
「……本当、姫っち達ってじれったいよねー★」
「本当だぜ。こっちからすれば姫達は両思いも同然なのによー」
「……本当、人騒がせだよね…姫たちは。そんな姫も好きだけど」
「本当ねぇ、私たちの居づらさ、気付きなさい! って感じよね?」
「もう委員長〜〜〜〜!!! これってさ、これってさ! いわゆるボーイズにラブって両思いなんだよね?!」
「きゃああああ❤生BLうううううう!!!」
「はいはい、騒がないのー。これから話し合うことは当人達には秘密なんだから」
「はーい! 委員長!」
「……で? どうすんだよ」
これからクラスで話し合うことは、姫くん達には内緒の話。
一言で言うなら、姫くん達を祝福する会、だ。
……さらに一言余計なことを言うなら、人騒がせな二人に迷惑料を払ってもらおう! と言う企画だ。
「……とりあえずさ、明日学校だし、明日二人が来てドアを開けたと同時にぱーんとする、とか?」
「お! それおもしろそーじゃん! ついでに二人の驚いた顔写メろーぜ!」
「イイね〜★」
「それ、クラスみんなに送れよ、北川ー」
「おっけーおっけーもちの論だ!」
「ねね、ただぱーんってするのはあれだしさ、≪おめでとーっ!≫って声かけるのは?」
「姫くん達、絶対驚くんじゃない?」
「あ、それいいー!」
みんながいろいろな意見を出してくる。
(確かにおもしろいかも)
(みんな、なんだかんだ言って本当姫くん達好きだよね)
(……当たり前か、姫くん達は、そういう人たちだもん)
「じゃあ、冷やかし組は北川くん、早瀬くん、石田くんでイイかな? 得意でしょ? 三人とも」
「得意って……まぁ、姫をからかうのは得意というか趣味だよな! 早瀬、石田」
「うんうん〜俺、超得意〜★超姫っちいじるの好きー♪」
「……いじられる姫みるの、おもしろいよね。そんな姫も好きだけど」
「おいおい、石田〜ここまでキャラ作んなくて良いだろー?」
あはは、と笑うクラスメイトに石田くんは、バレたかー、と笑う。
「……じゃあ、肝心の迷惑料払ってもらうのを言うのだけど、」
そういう私に、北川くんと目が合った。
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