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□翡翠の薔薇 14
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ギャリーside








ーーーバタンッ








ギャ「わっそい! ケガは……」








部屋を出た先にあった光景は絶望させるのに十分だった






後ろでイヴとメアリーが小さな声をあげるまで思考が停止していたのに気づかなかった






ギャ「−−−!!」








ドアを開けた数歩先、
すぐ足元で暴れたのか髪や服が乱れた状態で伏せているわっそい





すぐに抱き起こして見た顔…


息は浅く眉間にしわを寄せ、汗を流しきつく目を瞑っている






ギャ「わっそい…!? わっそいっ、しっかりしなさい! わっそい!!」





肩を揺さぶっているが起きる気配はなくずっと小さく呻いて苦しんでいる





メ「ギャリーどうしよう!」





イヴやメアリーもわっそいの名前を呼んで必死に起こしている中、


起こす方法はまだあった…



……でもできればやりたくない






イ「わっそいっ わっそい…っ」







………でも、このままじゃ…







ギャ「……っ!」







ーーーパシンッ







苦しんでいるわっそいの右頬を叩いた




力加減はしたつもりなのだが少し腫れてしまったことに罪悪感がつのる






「………ん…」





ピクリと瞼がかすかに動いた





ギャ「起きなさいよバカ!」




そしてゆっくりと目が開かれた



すかさずイヴがわっそいへ飛びつく




イ「わっそい…!」




「………」




イヴを受け止めたまま放心状態でいるわっそい


それを見て更に心配になったイヴがわっそいの名前をずっと呼ぶ



「………」




ふと少し腫れてしまった右頬に触れるわっそい




ギャ「………ごめん、やり過ぎちゃったわね…」




右頬に触れている手にそっと自分の手を重ねる



そこでようやくわっそいがこっちを見てくれたことで目があった


そしてゆっくりとイヴと目を合わせ、次にメアリーを見るわっそい




「……………」




非常にゆっくりとした動きで一言も喋らない



次にどこかをぼんやりと眺めてしばらく動かなかった






ギャ「わっそい…」





そんなわっそいの姿を見ていられなくなって抱き締めた



そこではじめて気付いた…



わっそいの匂いはちょっと意地悪した時に嗅いだことがあったから覚えている


その時は草や木、自然を連想させるような柔らかくて良い香りで好きだった…



でも今は違う…




何か…燃やしたような……強く焦げ臭い………



すると背中に手がまわされた





「…大丈夫……大丈夫…心配かけた、すまんな…」




そして耳元で囁かれた弱弱しい声…




離して改めてわっそいの顔を見ると疲れきっているのが胸を締め付けた





ギャ「…ごめんなさいね……1人にしていなきゃ…こんな……」





「いや、…疲れたから少し寝てただけさ……それで悪い夢を見ただけ」





そうなんだよ…、


最後に呟かれた言葉は自分自身に言い聞かせているようにしか聞こえなかった






「…で、さぁ あの部屋には何かあった?」






最初の時と同じ様なテンポの喋り方



同じ様なケラケラというような笑い方



同じ様なふざけた笑顔




それを見てもそんなに安心できなかった







ギャ「……顔色悪いわよ」






きょとん、といったような顔をしたわっそいは次に笑った



まるで自分を嘲笑っているかのように






「……寝不足ってのもあるかな? 疲れたっちゃぁ疲れた、まぁこれからちょこちょこ寝て休むさ」






ギャ「………約束よ?」






「…は?」





なにを言っているんだこいつは




みたいな顔して…失礼ね






ギャ「もしちゃんと休まなかったら…」






「わっかりましたぁ! もちろんちゃんと休みまスよ!」汗





ちょっと深い意味を込めて言うと慌て始めたわっそい





それを見て意味がよくわからない、といった2人






「じゃぁ、進みますかな」





メ「おー!」









次の部屋で休ませましょ…







ギャリーside終了
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