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□翡翠の薔薇 8
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「はぁ…、死ぬかと思ったっ;」






ギャ「ごめんなさいね…わっそい」






疑ってくるかと思いきやギャリーは謝ってきたから一瞬固まってしまった






「………い、いや、こっちこそ…怒鳴ったりして…ゴメン」






イ「わっそい花弁減ってるよ、どこか痛い?大丈夫?」






身体が少し軋むがこの程度なら”イヴ”を抱っこして走れそうだ






「大丈夫、なんともないよ」





残り5枚でこの程度か…



4枚以下は流石にきついかもしれない…




とりあえず、この部屋は”イヴ”にとってきついところだ






「…早く出ないと……」






…あ、目の前にソファー………







「”イヴ”!あのソファ一緒に座らないっ!?」きらきら






疲れている今ならとても座り心地良さそうに見えるっ






イ「ギャリー、この本棚動きそうだよ」





ギャ「あらホント、どっちに動かす?」







「・・・・・(´・u)



ギャリー、右に動かしてくれる?」







ギャ「右?」






「うん、今レディー達が活動中でしょ?
レディー達は自分でドアを開けることはできないけど窓があればそこを狙ってやってくるから」






ギャ「…わかったわ、じゃあちょっと離れて」






説明したらギャリーが急いで本棚を動かした




何か…いい慌てっぷりで…笑っちゃうわあwww(鬼






イ「わっそい…」






笑いを堪えていると”イヴ”が袖を引っ張ってきた





しまった…っ!あの絵を見てしまっ…






イ「あれ…」






”イヴ”は後ろを指差す




急いで振り向けば…






「……………あ、あぁ;また何か書いてあるね」






ソファの横の紙がありました




良かった…まだ見てないのか…






「えーと…?
”疲れたのならゆっくりお休み?
もう苦しむこともなくなるから”


ワタシは家で休みたい人、外では一切休みませぇん」






イ「くすくす…」






うむ…何故笑うか……まあいっか…






ギャ「後はこの大きな絵だけねー」





ギャリーの言葉にイヴが振り返る





「!、…イヴ…っ」




…あ、変に疑われてしまう……




でもイヴが…っ






どうする事もできず、ただイヴが振り返ってしまうのがゆっくりと映された






イ「そうだ………」






その絵を見た瞬間にイヴは動かなくなった



”ふたり”という題名の絵をしばらく眺めて、イヴの大きな瞳が驚愕に見開かれた






ギャ「どうしたのイヴ?」





「…イヴ……」




イ「この人……私の、お父さんとお母さん…」





ギャ「え!?この絵の人イヴのパパとママなの?」





驚いたギャリーはイヴとその絵の二人を見比べる





ギャ「へぇ………たしかにイヴに似てるかも……」





ギャリーはイヴの様子に気付いていない様子で会話を広げようとする






「…っ」





違うっ、違うんだギャリーっ…






ギャ「でも…」






その先の言葉はわかっていたのに、知っていたのに止められなかった






ギャ「なんでこんなところにそんな絵があるのかしら?」






「…ギャリーっ」






パァンッ








乾いた音が響いた瞬間にやってしまったと思ったが、




…もう遅い





でも見てられないのが本音だった




イヴが傷付く顔も、悲しむ顔も…見たくなかった…




ギャリーに悪気がないことも知っているけど…抑えられなかった







あぁ…どうしよう…っ






血の気がさぁっと引いていくのが解かる






右頬を赤くしたギャリーは驚きに呆然としている






「・・・あ、ぇ・・ごっごめんっ」







今のでイヴを更に悲しませてしまっただろう…




ただでさえ今は心情が不安定なのに…



この抑えられなかった右手が憎い…




こんな手なくなってしまえばいいのに…っ!







イ「…ねぇ、お父さんとお母さんは…どこ?」






気まずい沈黙の中、イヴの言葉にはっとして同時に振り向いた







ギャ「うーん……それはちょっとアタシにもわからないわ」






イヴは俯いてしまった



小さな方が震えている






ギャ「だ、大丈夫よっ、きっとどこかにいるって!」






ギャリーが宥めるが、イヴは俯いたままだ






ギャ「…………」






ギャリーの方を叩いて代わってもらう






「イヴ、ごめんね…」





最初会った時と同じ様に抱き寄せ背中を優しくたたく





「お父さんとお母さんはちゃんと美術館にいるよ、私達がこの変な所に迷い込んじゃっただけ
だから心配しないで…絶対にお父さんとお母さんに会えるよ」






ふと、親のことを思い出した







ーーー





『まあ、なんて役立たずなんでしょうっ』





『お前はこんなことすら満足にできないのか』





『あぁ…いなくなればいいのに』





『いるだけ金がもったいない』






ーーー







「…っ」







止めだ止めだ、こんな事関係ないだろ…っ





ワタシより…イヴの方が苦しいんだ…






「それまでは…ワタシとギャリーをお父さんとお母さんとして?
イヴのご両親には敵わないけど…でも、約束する


必ずここから出てイヴをお父さんとお母さんの所に連れて行ってあげる」






イ「………本当?」





イヴが離れて不安そうな目で見つめてくる






「うん、約束、ほら」






小指を出せばイヴはきょとんとしている






「指きりって言って約束する時の合図みたいなもんだよ、イヴも小指出して」






イヴの小さな小指を絡ませ歌う






「指きりげんまんウソついたら針千本飲ーます、指きった」





イヴは小指を見つめるとギャリーにも出した





イ「…ギャリーも」





ギャ「…え?」






イ「ギャリーもわっそいと一緒に連れて行って」






ギャ「……いいわよ、約束しましょ」






イヴが少しでも元気がでてホントに良かった…







…でも、この部屋の本番はここから








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