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□翡翠の薔薇 2
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紅い部屋の中をハイテンションで歌いながら進んで行く







「美幼女・オレのリトルシスター♪、ワカメ・ワカメオレの嫁〜♪




………嫁ぇぇぇぇぇぇぇぇえええええっ!?;」







何これ?イジメ?








目の前には紅い壁を背景に巨大な不気味な顔がどす黒く描かれていた








「うぇああああああああ…っ;」ぞわぞわぞわ…





とりあえず直ぐ左に通路があるから先ずそっちに行こう…






「…喋らないよね、アレは?(泣」




あんな巨大で不気味などす黒いものから声が発せられたら冗談も寿命も無ぇよ…;







ぽちゃん、ぽちゃ…






「…んぬ?」





進んでいると水の音が聞こえてきた




どこかに水があるのかと探しながら進むが…






ズボッ








「ぬわぁっ!!?;」





突然踏み出した右足が床に沈んだ




残った左足を曲げてその場に勢いよく座り込むようにして転んだ



おかげで右足は太腿まで沈んでいる







「…こ、これ水かっ!?;」




何だよ、わっかりずれぇなおい!;



しかも何だこれ!?


めっさ深いっ!?;






後退りして戻る






「全くもぅ…っ(イラッ」





バシャッ     ガシッ






「…ぃっ!?;」





足首まで上がった時だった、




突然紅い水から青白く細長い手が伸びて足首を掴んでいた






「ぃぃぃぃいいいいいいいいいいいやぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!!!?(大涙」




なんなんだコイツなんなんだコイツなんなんだコイツぅぅぅぅぅぅうううう!!?;


なんだよ、何かした!?オレ何かした!?;






その手は勢いよく引っ張って引きずり込もうとする





「うわあああっうわあっうわああああああああああああああああ!!;(大泣」





引きずられまいと足を引っ張るも手の力の方が強く少しずつ引きずり込まれていった




その手から逃れようと後ずさる腕と左足を踏ん張りながらひたすらに右足を振り回す






「うわぁぁぁぁああああああっわあああああああ、」






ボキッ








「ぃぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!?;(大泣」






振り回しまくった結果、青白い手が折れ腕と手首とが分離してしまった




手首は未だに右足を掴み、腕は手首を求めて紅い水から伸ばしてきた







あ゛、ァ゛あ゛ア……あ゛ァ゛…








「〜〜〜〜〜〜っ!?!?!?!?!?!?!?;」






うめき声にもはや声も出ず恐怖で全身が固まってしまった




動けず近付く腕に耐え切れず目を瞑った







その時、急に右足首に摑まれた感覚が無くなり浮遊感を覚えた






「ぅぇっ…!?;」





目を開けると知らない人の顔があった






ぁァ゛ァ゛あ…あ゛、ア゛…





「っ!!?;」




呻き声に振り返ると遠くなっていくあの水の場所で手首とつながった腕がこちらに向かって手招きをしていた





「〜〜〜っ!(大涙」





そして角を曲がり見えなくなった頃に降ろされた





?「危なかったね、大丈夫かい?」





どうやらこの男性が助けてくれたようだ





「あ、はい…助けてくれて、ありがとうございます」





黒髪に、黒い目…



誰だ?見た事ない奴だな…






?「良かった、無事で…あの場所はとても危険な所だ、絶対に近付かない方が良い」






新しく迷い込んできた人か…?





「あ、はい…、ところでキミは…?」






でも何か普通の人じゃない…






?「あ、すまない…私はデザイアーだ、よろしく」







何か…演技っぽい動作だな






「オレはランス、ランス・ロットー、よろしくな」






コイツはきっとろくでもねぇ奴だ…






デ「よろしくな、ランス」






そうして握手での手に触れた瞬間、




コイツから離れなければ…


危険だ…





そう思った







「デザイアーも美術館にいたのか?」





この男…デザイアーと言う名前は嘘だな…



世の中にそんなダサい名前は無いっ!(キリッ





デ「あぁ…よく解かんねぇけど何故かここにいてな…」






経緯を話そうとしないのか…






デ「それにしてもランスは運が良かった」




そしてナメ腐ったこの演技感を感じさせる動作、言動…





「何故だ?」






デ「この部屋はわざと左の通路に行かせるように真正面にこんなものを描いてあるんだ


そして左に行くと、床と同じ色をした紅い水は実は泉なんだ


あの場所は”絞め泉”っていって、触れたが最後、
絞め泉の亡霊に引きずり込まれて二度と出て来れない


恐怖を目の前にしてそこに新たな道があると人は逃げ道だと思って必ずそっちに行くからな、
おまけに絞め泉はわざと床と同じ色になって境界線を解からなくしてんだ


誰も気づかず皆あそこに落ちちまう」






何だこいつ、嫌に詳しいな…


まるで自分の体験談を話しているようだ…






「うわぁ…、そうだったのか…;」





デ「これからは一緒に先に進もう」





そういってコイツに手を引っ張られた





「…あの絵がなくなっている?;」





デ「あの道に行った後にはあの黒い絵は消えるんだ」





「そういうのはどこで知ったんだ?」




聞くと、一瞬だけ動きが止まった



だが、何事もなかったかのようにまた演技を始める




デ「あ、あぁ…それな、実はさっきこの右に部屋があってそこの本で読んだんだ
今はもうなくなっちまってるけどな」





「そうなのか…」





言い逃れは案外上手いのな…





そいつは慣れた手付きで壁を押した





ガチャッ




すると扉が開いた


どうやら先程の部屋と同じ様に壁と扉が同化しているタイプのやつだ




デ「お、開いた、まさか扉だったなんて」




何だこの下手くそな演技は





「すげぇ、オレもここに来る前同じヤツだったけど一発じゃ開けられなかったぜ」






とりあえず誉めちぎっとくか







デ「まぁな」





そいつの笑い方は醜かった







「………」




何だこいつ殴りたい…
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