I B 短編

□特技2
1ページ/1ページ


ギャリーside




あ、足が痛い…


これ絶対明日筋肉痛ヒドイ




あれからいつもの不気味な雰囲気の部屋に戻ったけど…


特に怪しげなものはない


薄暗い部屋には正面に扉とその横に机と椅子があるだけ



「なんか何もなさ過ぎて逆に疑うわ…」



イヴとメアリーをはさんだ隣、眉間に皺を寄せ疑いの表情をするコッペパンはつい数分前まで空気椅子を平気で十分くらいやる超人だ


壁を使っているとは言え普通は三分もできないと思うものを汗ひとつかかず軽くやってのける


見ているとそのうち自分もできるんじゃないかと錯覚する人も出てくると思う




メ「机の上に何かあるよ」




気付けば最初はなかったキーボードが置いてあった




「キーボード?」




ギャ「何に使うのかしらね」




「何か暗号を解くとかそんな感じ?」




コッペパンと話しているとメアリーがコートを引っ張ってきた




メ「ギャリー、コッペパン、ドアに何か書いてあるんだけどコレなに?」



見ればドアにアルファベットがずらりと並んでいる




「おっけーわかった」




ギャ「解かったって、何が?」




「こういう事ちゃう?」




コッペパンはドアを見つめながら手元のキーボードを打っていく



すると白い文字が青い文字に変わっていった




ギャ「なるほど、ドアの文字に使うのね」




物分りが早いコッペパンが羨ましい



手元を見ずすらすらとキーボードを打っているコッペパン


全て青文字になると上に白文字が新しく増えていく



「きっ、聞いてないよ!?;」



そう言いながらまたカタカタと打っていく


そして全部打ち終えたところでまた新しい白文字が増えた



ギャ「一体いつまで続くのかしら?;」



打ち終わっては白文字が増え、打っては増え……



それを5回ほど繰り返した時だった




「…はいっ終わったぁ!」



最期の文字を力強く打ちつけ


もう上から白い文字が増えることはない




ギャ「長かったわね;」



10行くらいの文字がドアにびっしりと書かれている


これを5回繰り返すとなると面倒になってくる




イ「ドアが開くのかな?」




メ「そうなんじゃない?」






ーーーブブーッ!





「…ほ?」





ギャ「何?」




どこからか不正解とでもいうような音が聞こえ
ドアの青文字が白文字になった




イ「戻っちゃった…」




そしてドアの上の壁に3:26と浮かび上がった




「なにあれ………」




ギャ「もしかして、時間じゃない?」




「あー、プレイ時間的な?」




ギャ「…だと思うわ」




メ「じゃあさっきの音はなに?」




「クリアできなかったとか?何分以内にこれクリアしろみたいな感じで」




ギャ「じゃあ今度はもう少し早くやれば良いわけね」




「いぃっ!?もう一回あれやんの?もう指痛いよ…(泣」




ギャ「結構長い文打ったしね;」




「それにタイピングなんて久しぶりだから尚更だよ」




ギャ「それにしてもコッペパンがタイピングできるなんて意外だったわ」




「まぁ機械音痴だけどキーボードだけは使えないとね…」




機械音痴ってことも意外だけどコッペパンの顔みたらそれに触れちゃいけないような気がする




ギャ「じゃあ次はアタシがやるわね」




さっきはコッペパンに負けちゃったから今度こそ勝つわよ…!




「ギャリーはタイピング早いの?」




コッペパンと交代して椅子に座ると隣に立って手元を覗き込んでくる




………そんなに見つめられてると緊張するんだけど;




ギャ「パソコンは大学の課題でよく使うからそれなりにできると思うわ」




「おーだからか」




ギャ「何が?」





「ギャリーの指が綺麗なのってそういうことなのかなぁって…?」




ギャ「………え?」




「細くて長いしそれに肌白いでしょ?すごい綺麗だと思うよ」




何いきなりの告白っ!!?///;


あぁ顔が熱くなってきた!


くっそこれじゃ集中できねぇじゃねえか!!


いつもはツンツンしてんのにどこで素直になってんだよ!!




ギャ「……そ、そう?;」




「うん、絶対そうだよ」




んな可愛い顔して言うなって…;




ギャ「…あ、ありがと」




「ん?はいはい」




無意識なのかよ!!(大汗




「………」




ギャ「………あの、コッペパン?」




「ん?」




ギャ「そんなに見つめられると…やりづらいんだけど;」




「あ、そっか… でもワタシが見たいから我慢して」




なんでだよっ!?;





「さぁさ、始めて?」





できるかっ!!






…と言ってもやるしかない




ギャ「…ホント、わからない性格してるわねコッペパンは」





「よく言われる」





ギャ「即答しないでちょうだい;」




キーボードを打ち始めると騒がしかったコッペパンが急に大人しくなるから余計に緊張してきた



それにイヴとメアリーも大人しくこっちの様子を見ているからなぜか重大な責任を負っているように感じる…



しばらくキーボードの軽い音だけが響く


緊張するけどこの美術館に行く前日も一気に課題終わらせる為にパソコン使ったしそれなりにずっとタイピングしてたからいけると思う


コッペパンが3:26だからそれより早く終わらせれば空気椅子の不名誉を覆せるわ!!


(※覆せません)




「………」


(…早いな……ワタシのより二倍くらい早い…………………あー、綺麗な指だなあ…)




ーーーカタカタカタ・・・ タンッ




ギャ「よっしゃ!」




最後のキーをつい強く押しちゃったけど壊れたってアタシのじゃないしいっか



メ「わっ、ギャリー早い!」




ドアの上に出た時間は1:05



ーーーピンポーン!



そして軽快に鳴った正解の音




ギャ「…勝ったっ」




「ば、バケモンかよ…」



ギャ「どおっ!?日頃課題に向き合っている成果よ!」




驚くコッペパンに指差して自慢してやっていると…



メ「これでドアが開くんじゃないかな?」




ギャ「さっきの空気椅子の不名誉も……」




ーーーザシュッ バキバキッ、パリィンッ





「「「「・・・・・」」」」





ーーーシャアッ





メ「何かでてきた!」




「レッドだっ;」




ギャ「ウソっ!?;」



いつの間にか切り裂かれてボロボロになったドアからあの赤い女が這い出てきた



「に…逃げんぞっ;イヴを頼む!」



コッペパンはメアリーを、アタシはイヴを抱きかかえて女から逃げ回った










(…ちょっと……待って、ぁ、足、力入らないっ…;)
(だからって流石に三人も持って行けねぇよ!;お前は死んでも走れ!!ムリなら囮になってろ!)
(あっ、コッペパンあのドア今なら入れる!)
(よし突っ込むぞ!走れギャリー!)
バタンッ
(…はぁっ!な、なんとか……逃げ切った…)
(あー危なかった)
(…ギャリー、これからは走れなくなるまでムリしないでおくれ)
(……なんか、敗北感が拭えないわ…)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ